8 side...REN ページ8
ブツブツ言いながらもくじ引きは進んで行く。
不正防止のため、引いたクジはそのまま岸先生に手渡し、それを開けて番号を確認した先生が黒板の席次表に名前を書き込んで行くスタイルだ。
教室のあちこちからキャッキャと浮かれた声が聞こえて来る。
ぼんやりと窓の外の眠そうな桜を眺めていたら、いつの間にかクジは俺の番になっとった。
1つ溜息をついて席から立ち上がると、ポケットに手を入れたまま、細い足を投げ出すようにして教室の前まで歩いて行く。
そして引いたクジを、なぜか1人で超絶ええ顔しとる優太へと手渡した。
廉「…なんやねん、その笑顔。
何かその辺に落ちとるモンでも食うたん？」
岸「相っ変わらず可愛くねぇーーーー！！」
呆れたように笑う優太が、黒板に俺の名前を書き加える。
1番後ろの、窓側から2列目。
チッ。1コ隣なら窓の横の特等席やったのに。
俺が狙ってた角の席は、まだ空欄のまま。
誰やろ。知っとる人やったらええなぁ。
とりあえず1度自分の席に戻って、周りの友達とテキトーにしゃべりながらくじ引きが終わるのを待っとったら
途中で「ぅええええーーーー！！！」と言う、なんとも冴えない叫び声が聞こえて来た。
咄嗟に声の方を見るとそこには
何やらがっくりと項垂れている、見慣れた後ろ姿。
黒板に書かれた名前。
窓 ［松本］［永瀬］
並ぶ苗字。
岸「おっ、学年1位2位の幼馴染みコンビが並んだじゃん！！縁起いいね！！」
何の縁起やねん。
てか……………優太、絶対クジになんか小細工したやろ。
さっきニヤニヤしてた担任の顔を思い出し、苦虫を噛み潰したような気分になる。
隣の席が嫌なワケとはちゃうけど
俺の隣んなってあからさまに肩を落とすAを見るのは
さすがの俺でも、それなりに傷つくっちゅーねん…
不貞腐れながらチラッと覗き見た隣の顔は、なんだか悲しそうに沈んでいて
「…なんでお前がその顔やねん…」
と、
ストライプのネクタイが揺れる薄い胸の奥で
誰にも聞こえん文句を、ポツリと呟いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2994人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きのこ(プロフ) - renrennagachanさん» 爆笑頂きましたー！！ありがとうございま〜す！！最近になって「ラブシチュの続き希望」と言うお声を頂き、「あ、コレが好きな人いるんだ…」と気づいた作者です。嬉しい！これの続きの短編もありますので、もし気になったら覗いてみて下さい〜 (2020年10月7日 15時) (
レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
renrennagachan(プロフ) - はいダメぇぇぇー！のくだりがマジで永瀬廉すぎて頭抱えました爆笑サイコーです！！こっそり続き待ってた根っからのび太系女子なので今回とても嬉しかったです！！ジャイ廉ごちそうさまでした！！！ (2020年10月7日 0時) (レス) id: 91d0c85321 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ちいさん» ありがとうございます(^^)こちらのお話は私も気に入っていたので、楽しんでもらえて嬉しいです！！ (2020年5月26日 14時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
ちい - もう本当に本当におもしろくてキュンキュンして最高でした！これからも楽しいお話書き続けて下さい！待ってます！ (2020年5月26日 14時) (レス) id: 07dfb12e8b (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - とぅーしょーさん» もう全身のどこにも見当たらないキュンを無理やり絞り出しました…。楽しんでもらえたようで嬉しいですヽ(´▽｀)/ (2020年4月30日 15時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きのこ
| 作成日時：2020年4月17日 1時
