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乗り換えも含めて電車に揺られること、約30分。
…さすがに不安になって来た。
いくら自由行動とは言え、事前に提出しているルートから勝手にここまで外れていいわけがない。
先生にバレたら絶対に怒られる…
思い切って「そろそろ戻ろう」と言おうと私が口を開きかけた瞬間、廉くんがサッと席を立った。
慌てて私も立ち上がり、目の前の薄っぺらい背中を追って電車から降りる。
廉くんが降りたのは割と大きくて、近代的な駅だった。
置いていかれないように必死で、駅名すら見ないまま外に出たものの、特に変わった何かがあるようには思えない。
駅前には大きなショッピングモール。
けどそれは別に他の場所にも、なんなら東京にもあるお店だ。
少し歩くとちょっとレトロな雰囲気の商店街、その先にはなんの変哲も無い住宅街が広がっていた。
クネクネと曲がる細い路地を、廉くんは慣れた足取りで進んで行く。
そして不意にピタリと足を止めると、目の前にあった大きなマンションをゆっくりと見上げた。
廉「ここ、俺が住んでたマンション。」
『え？』
廉「こっち来てから、ずーっと住んどったトコやねん。」
廉くんは、制服のズボンのポケットに長袖シャツをまくった腕を突っ込みながら
ほんの少し眉を下げて、うっすらと微笑んでいる。
『え！そうなんだ！やっぱり懐かしい？』
廉「…どやろな。あんま変わっとらんし、特にどうこう言うほどの感想は無いな！」
『えぇっ…何それ…
じゃあなんでわざわざこんな遠くまで来たの……』
廉「ははっ、なんでやろ！
ま……なぁんか、お前に見せたなってん。」
『え？』と聞き返した時にはもう、廉くんはさっさとマンションに背を向けて歩き出していた。
『あ、ま、待って！！』
慌てて後を追うと、廉くんはやっぱり少しだけ口元を緩ませたまま
「これが通ってた中学」とか
「友達の家のお好み焼き屋さん」とか
「ここの坂、チャリやとバリしんどいねん」とか
ポツポツと懐かしむように、私に街と言う名の暮らしを説明して歩いた。
わざわざ修学旅行で来るような場所では、決して無い。
けど廉くんが
まるで私たちが離れていた時間をそっと埋めようとするかのように話す、この街のアレコレが
普段では考えられないほどに優しく温かくて
いつになく穏やかな口調と、綺麗にキュッと上がった口角が
なんだかとても
嬉しかった。
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きのこ(プロフ) - renrennagachanさん» 爆笑頂きましたー！！ありがとうございま〜す！！最近になって「ラブシチュの続き希望」と言うお声を頂き、「あ、コレが好きな人いるんだ…」と気づいた作者です。嬉しい！これの続きの短編もありますので、もし気になったら覗いてみて下さい〜 (2020年10月7日 15時) (
レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
renrennagachan(プロフ) - はいダメぇぇぇー！のくだりがマジで永瀬廉すぎて頭抱えました爆笑サイコーです！！こっそり続き待ってた根っからのび太系女子なので今回とても嬉しかったです！！ジャイ廉ごちそうさまでした！！！ (2020年10月7日 0時) (レス) id: 91d0c85321 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ちいさん» ありがとうございます(^^)こちらのお話は私も気に入っていたので、楽しんでもらえて嬉しいです！！ (2020年5月26日 14時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
ちい - もう本当に本当におもしろくてキュンキュンして最高でした！これからも楽しいお話書き続けて下さい！待ってます！ (2020年5月26日 14時) (レス) id: 07dfb12e8b (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - とぅーしょーさん» もう全身のどこにも見当たらないキュンを無理やり絞り出しました…。楽しんでもらえたようで嬉しいですヽ(´▽｀)/ (2020年4月30日 15時) (レス) id: 0b6ff0fe38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きのこ
| 作成日時：2020年4月17日 1時
