私が恋した相手とは。二【キングダム】

第五十七 ページ9

あれからというもの、私は二、三日に一度のペースで大王様に呼ばれる事となった。


元々、伽は毎日あるわけではない。


陽ちゃん曰く、それは後宮ではありえないことだそうで、宮女達は私を見る度に周りの方とひそりそと話している。



元々、その行動はここに来た時からあった訳なのだが、最近はその行動がやたら目につく。



周りから"夜伽"なんて言われているが、実際は大王様と楽しくおしゃべりしているだけで、それ以上は本当に何もしていない。



私が初っ端からビビり過ぎたのか、今後そんな事をする気がないのが伝わってくる。だからと言って大王様とそういう事をしたい訳では無いけど、私以外の方とそのような事をしていると考えると少し胸がモヤッとする。



ボーッとしながら掃き掃除をやっていると、急に陽ちゃんの「えっ〜？！！」という大きな声で我に返る。



声のした方を見ると目をまん丸とさせて驚くよく陽ちゃんに、何故か顔を赤らめソワソワしているの様子の向ちゃん。



夕「え、なに、どうしたの？急に大声出して、」


明らかに動揺しながらの「な、な何でもないよ〜」と慌てて逃げる陽ちゃんに疑問が残ったが、やがてある噂を耳にした。


私がいつものように掃き掃除をしていると、わざと聞こえるように、そして、大袈裟に、



(ねぇ聞いた？今度の夜伽は向が選ばれたのですって。)

(え、？でも最近はあの子(夕)が呼ばれていたのにどうしてかしら。)

(さぁ、飽きられたんじゃない？)


自然と掃き掃除の手が止まる。ドクンと心臓が波打ってクスクスと笑う声がどんどんと遠くに聞こえる気がした。

あの時の陽ちゃんの驚きはこのことだったのだと気づく。



別に私は、王様の后でも何でもない。


今までだっていろんな方が大王様のお相手をしていることだってわかっている。


なのに、どうしてだろう。胸騒ぎがして酷く胸が締め付けられるような痛みがする。







どうしてなのだろう。

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