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嫁さん探しに全力をかけた蝉は道路の上に転がっていた。自転車のタイヤで轢かないように退く。
この時期にもなるとエアコンの温度設定を少し上げたり、毎晩素麺ということも少なくなってくる。だらだらと体内の水が直に出てきていた汗よりも、じんわり出てきた汗が乾く方が多くなった。
「涼しくなりましたな」
「おー……」
個性柄夏が好きそうな爆豪は暑さには弱気になるタチのようで、ここ数ヶ月は電話越しにも覇気のない声が聞こえていた。まあ本人には言えないが。
「なにニヤついとんだ」
「いや、久しぶり爆豪と会えたし」
「たし」
「ほんとそれだけだってば」
何を疑っているのか疑い深そうな眼差しに答えると、ほんとかよと爆豪が笑う。なんだか分からないが爆豪は機嫌がいいようだ。人間、機嫌が良いことに越したことはないので鼻歌でも歌い出しそうな顔を見て手を差し出した。
爆豪はもう一つ二つ先の私の家の曲がり角を見て、私の差し出した手も見た。後ろを見て左側を見て、私を向き直って、自分の手のひらをズボンでゴシゴシ拭いた。
「……少しだけだからな」
「うん」
「……くそ……」
本当はこんなことしたくないんだけどお前がそうやって言うから俺はしょうがなく〜〜と続きそうな眉間の皺を寄せて暖かい手が私の指の先っちょをそわり、と撫でた。もう5回くらいは繋いでいるのにまだ耳まで真っ赤になっている爆豪は贔屓なしに見ても可愛い。手が触れ合ったりふと離れたり、ちりちりと手の甲がぶつかったり……歩きながらもだもだしているおかげでもう家まで10メートルもない。
それを見た爆豪はぎゅっと一度私の手を握って、唇をとんがらせた。
「いいだろ……」
皺のない下がった目尻を見てこのくらいで許してやろうと思った。
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9/1 晴れ
仕事帰りに久しぶりに見たら意味わからねえくらいかわいかった。機嫌がよさそうで、ずっと笑っていた。
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無気力感(プロフ) - 花帆さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてとても嬉しいです〜！シリ…もある……？ない…？いやもうそれはよくわからない……笑 これからもよろしくお願いします！ (2019年3月26日 22時) (
レス) id: b33f570211 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 面白くて一気に読ませて頂きました！かっちゃんの日記萌えます(*´艸｀*) 日記をつけてる意味などを考えると、シリアスな展開もあるのかな…？なんてハラハラしつつも、かっちゃんとの日常にときめきます(*´ω｀*) (2019年3月14日 5時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無気力感 | 作成日時：2018年11月20日 15時
