じゅう と きゅうこめ ページ11
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粉コーヒーを手の覚えるままに湯で溶かすと、昼の事務所にフルーツにも似た香りが広がった。粉とはいえど社宛のお中元でもらった物だったのでまあまあの値のものなのだろう、さすがに家のものとは違う。
テレビをニュースに変えつつ見逃していた新聞を速読で飛ばしていく。株価、事故、不倫……ときて本日の一面に目が止まった。
『ヒーローショート、熱愛を断固否定』
テレビからの音声と新聞の見出しが一致して思わず笑う。昨日は帰ってきて早々に寝落ち、朝はニュースも見ずに飛び出してきた挙句、今まで見る暇もなく
この件について自分としては変なことに巻き込まれてんな、程度の思いしかなかったものの光原は違ったようで。家でも難しい顔をしてうんうん唸っていた。何をそんなに、とも思ったがまあ、過保護な幼馴染である。幼馴染というだけで気にかける気持ちが俺には微塵も、ほんの１ミクロンも１ナノも思わないが、それこそ人それぞれと納得している。
全くもって、難儀なやつだ。
「彼女さんの記事っすか？」
「あ？ちげーわアホ」
「だって笑ってましたよ！」
「んなわけねえだろうが、おら、書類終わらせろ」
…………
「あったかいうどんと冷たいのどっちがいい？」
「……いや…どっちでも……」
「じゃあ冷たいやつね！」
リビングに入るとそれこそ腹踊りでもしだしそうなテンションで光原はおかえりちゅっ、と言った。言うだけである。なあ、と声をかけるとそのままのトーンでなあにと微笑まれる。かわ……い……い……が、
「その…横の段ボールは、なんだ」
そう、可愛いのだがキッチンの横には段ボールが5箱、2箱と3箱とで積んである。昨日俺がどれだけ早く寝落ちし、朝ドタバタと出て行ったとはいえどもこんなもの……あった…？ような……いやねえよ。
「気になるか」
「お、う」
「1年分のうどんです」
「は？」
「焦凍からもらった」
「……？」
「お礼に」
「返してこい」
「でも」
「返してこいって言ってんだろ」
「お願い♡」
「馬鹿かよお前んなに食えるわけねえだろうが！」
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無気力感(プロフ) - 花帆さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてとても嬉しいです〜！シリ…もある……？ない…？いやもうそれはよくわからない……笑 これからもよろしくお願いします！ (2019年3月26日 22時) (
レス) id: b33f570211 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 面白くて一気に読ませて頂きました！かっちゃんの日記萌えます(*´艸｀*) 日記をつけてる意味などを考えると、シリアスな展開もあるのかな…？なんてハラハラしつつも、かっちゃんとの日常にときめきます(*´ω｀*) (2019年3月14日 5時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無気力感 | 作成日時：2018年11月20日 15時
