君と僕 3

君のいない日々は ページ26

MVPをもらった僕は日米のメディアからの取材を受け帰宅したのは朝方だった


仮眠をとり


また取材の嵐





君を失った喪失感からか


なにかひとつ糸が切れたかのように


ここにいる理由が分からなくなった僕にとって


地獄でしかない





見かねた一平さんによって最低限にされた取材は夕方まで続き


僕は一足早くオフシーズンに入った






そして

優勝から2日後、兄さん達の判断で


球団、所属事務所(兄さん達の会社)から


メディアに向けて発表をした




先日、大谷にとって大切な人を亡くしました。シーズン、チャンピョンズリーグを戦い終えた今、心身ともに疲れ切っています。彼は今、休養を必要としています。来シーズンに元気な状態で皆様にお会いできるように静かに見守っていただきたいと思います。





と

メディアでは大きく報道されていたけどテレビをあまり見ない僕らの耳には入らなかった



僕の携帯は友人達からの連絡が絶えなかったけど


ほぼすべてスルーした


唯一読んだのは鍵谷さんからのメッセージ


すべてを悟ったようなメッセージだったから









そして僕は


最低限のトレーニングだけにして


精神的に不安定になって僕から離れようとしない子供たちと


心強い兄さん達と


君との思い出に浸りながらゆっくりと過ごすことにした




一緒に


ご飯を食べて


お風呂に入って


寝て


遊んで


絵を描いてみたり


お散歩に行ったり




そうしてゆっくりと過ごし


年末には君をお墓に入れるためにこっそり帰国して


お正月をアメリカで迎えた僕は漠然と


あぁ、野球しなきゃって


こんなんじゃ君に報告できないって


思えるようになった



そこからはみんなでアリゾナの家に移動して


本格的なトレーニングを始めた






この頃には子供たちもだいぶ落ち着いて


兄さん達でも大丈夫になって


やがて寂し気持ちを絵や音楽に向けるようになった


もちろん寂しい思いをしなくていいように僕らも一生懸命頑張ってる


けどね

ママからの愛は特別だもんね・・・

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