雨音 (ページ5)

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うちのカフェにはオープン席、カウンター席、ブース席がありお客様の要望に応じて対応している。オープン席はファミレスの様な感じでわいわいと、カウンター席はお客様と店員で楽しく、ブース席は名の知れた方、1人静かに過ごす方や店員とゆっくり話したい方にそれぞれご愛顧いただいている

「本日もブース席で宜しかったですか？」

「おぉ、頼む」

では此方へどうぞと、席へご案内し先ほど渡されたメニュー冊子を彼に渡す

「ありがとう…」

山田様は冊子を受け取りそのまま私に視線を止める

「どうかなさいました？」

「…っ…あ、いや……その服は…」

「服？」

山田様の言葉に目線を自分の衣装に向けピンときた

「山田様今月ははじめてのご来店でしたね！今月はバレンタインがあるので制服もバレンタインを意識したデザインになってるんですよ？」

そう笑いながら話しかけると山田様は少し俯き渡したメニュー冊子を握りながら少し震えている様に見えた

「山田様？大丈夫ですか？どこか具合でも…」

「いや…そうじゃなくて…」

「では…！も、もしかして私制服似合ってませんか？！今月の制服かなり可愛らしいデザインなので私にはもったいないものなのですが…」

「あ、いやいや！そうでちもなくて！！」

申し訳なく思いながら慌てる私に山田様は少し焦った様に視線を戻し、数回目を泳がせ咳払いをし口を開く

「すげぇ…その…里沙に似合ってて……かわいいと、思って、な」

「…っ…えへへ。ありがとうございます。嬉しいです。あ、お茶をお持ちしますね！ちょっと待っててください」

一礼し、私は顔に集まる熱と若干の動揺を隠す様にブースを後にした
　