7ー10,惨めじゃない ページ10
物がほとんど無くて、薄暗い家の中。
そこにはさっきの女の子がいて、不思議そうにこちらを見つめていた。
『…ゆあちゃん?…こんにちは』
ゆあ「こんにちわぁ!」
元気にそう答えるとニコッと人懐っこい笑顔を見せる女の子。
その笑顔を見て、貧しい中でも愛情を持って育てられたことがすぐに感じ取れた。
明里「……さっきの話だけど」
私達にお茶を出してくれた明里は、気まずそうにそう切り出した。
明里「私、美雅に目をつけられたくなくて、ずっとこの事隠してきたの。」
『……』
明里「○○もわかるでしょ…?こんな弱み握られたら、いじめの標的にされるに決まってる。」
『…そうだね』
明里「……私が今まで散々あんたに酷いことしてきたのはわかってる。こんな事お願いするのは都合が良すぎる事も。」
『……』
明里「……でも私も必死だったの……親が家を出ていってから、ずっとこの子と二人きりで、必死に生きてきた。……だから、わかってほしい…」
そう言って俯く明里。
何となく私と似た境遇で、同情してしまう。
こんな小さい妹も居て、きっと私の何倍も苦労してきたのだろう。
でも……だけど……
私って自分が思っていたよりも、心が狭かったのかもしれない。
『わかんない』
明里「え……」
『わかんないよ。わかるわけないじゃん。
私はずっといじめの標的にされてきた。
惨めで、悔しくて、生きてるのが辛くなった。
…全部全部あんた達のせい!そんな私に何をわかれっていうの?!』
明里「っ…」
ホソク「○○…」
心配そうに私たちを見つめるホソクさん。
でも決して止めたり、口を出したりはしない。
『都合が良すぎるってわかってるなら言わないで。私そんなにお人好しじゃないの。』
明里「…ごめん」
『でも…』
明里「…?」
私だって別に、復讐したいわけじゃない。
そんなの、悲しみの連鎖をうむだけ。
それに、ずっと彼女の言葉で引っかかっていたことがある。
『私はわざわざ美雅に言いつけたりしない。
……それに、今のあんたは惨めなんかじゃない。』
明里「…え?」
多分、引っかかっていたのはきっとこれ。
『一人で妹さん、こんな良い子に育てて、一生懸命今を生きてる。
……そんな人、誰も惨めなんて思わない。』
明里「○○…」
『あんたの事、許したわけじゃないけど…
…………少し見直したよ。』
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なーさ(プロフ) - Chocoさん» コメントありがとうございます!感動していただけたようで、とても嬉しいです…。温かいお言葉をありがとうございます!今後の作品も応援していただけると嬉しいです! (2023年4月1日 8時) (レス) @page49 id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
Choco(プロフ) - こんばんわ、初コメ失礼します!なーささんの作品を読ませてもらい、ホントに恥ずかしいですが泣いてしまいました…。素敵な作品を作って下さりありがとうございます!!なーささんの作品とても大好きです! (2023年4月1日 1時) (レス) id: 59651d7816 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - あんにょんさんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…励みになります(泣)これからも更新頑張りますね! (2023年2月10日 0時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
あんにょんさん(プロフ) - もう、ほんと、神作品すぎます…!いっそドラマ化してほしいくらいです笑 応援しています!! (2023年2月9日 15時) (レス) id: 999eb198b5 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます!尊敬だなんて……私にはもったいないお言葉です。(泣)これからもこまめな投稿を心掛けて頑張りますので、よろしくお願いいたします! (2021年7月13日 23時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なーさ | 作成日時:2021年6月15日 23時