7ー9,家族みたいな ページ9
?「っ……!」
ボロボロの、いかにも人が住めなさそうな民家から姿を現したのは…
『明里…?』
薄汚れたTシャツを着た、明里だった。
明里「なんであんたがここに…?」
『えっ……いやっ……』
明里「男まで………まさか跡つけてきたの?復讐?」
そう静かに聞いてきた彼女。
その目は鋭く私を睨みつけていて、全身から寒気がする。
ホソクさんはそんな私たちの様子を見て、敢えて何も言わないといった様子だった。
『えっと……たまたま通りかかってて……』
少し震えた声で話す私を見て、何か焦ったように唇を噛む明里。
彼女が再び何かを発しようとした時、少し高くて幼い声がそれを遮った。
?「おねーちゃん!おなかすいたぁ……
…このひとたちだれぇ?」
民家の玄関からトテテ…と出てきた小さな女の子。
すると明里は、さっきまで私に向けていた鋭い視線が嘘のように優しい目付きになって、その子の方へ振り向いた。
明里「ゆあ………勝手に出てきちゃだめでしょ」
ゆあ「だって………おなかすいたんだもん。
ゆあ、あさからなにもたべてないよ?」
明里「ごめんね……、中入って待ってて。」
眉を下げて辛そうに謝った明里は、女の子にそう促した。
すると女の子は“はぁーい”と言って、素直に家の中へと入っていく。
『………妹さん?』
明里「っ………お願い!この事、美雅にだけは言わないで!」
『……え?』
明里「今まで私があんたにした事なら謝る!謝るからっ…!」
『ちょっ…急に何言って……』
明里「こんな惨めな生活してることが美雅バレたら……私っ……」
急に取り乱して大声をあげた彼女は、“お願いだから…”と私に懇願してくる。
あまりに突然の出来事で、私は状況が呑み込めない。
『どういうこ…』
ホソク「君は……○○のお友達かな?
とりあえず、お話聞かせてくれる?……○○も混乱してるみたいだし。」
混乱する私に助け舟を出すように、明里に優しくそう話しかけたホソクさん。
明里「……○○の彼氏さんですか?」
『えっ…』
ホソク「そんなんじゃないよ。笑
……家族って感じかな?」
彼の発言に驚いて目線を向けると、“でしょ?”と微笑まれて思わずこくんと頷いた。
明里「そう…ですか。
……とりあえず中、入ってください。
お話したいので。」
明里はそう言うと、気まずそうに私達を家の中へと案内した。
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なーさ(プロフ) - Chocoさん» コメントありがとうございます!感動していただけたようで、とても嬉しいです…。温かいお言葉をありがとうございます!今後の作品も応援していただけると嬉しいです! (2023年4月1日 8時) (レス) @page49 id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
Choco(プロフ) - こんばんわ、初コメ失礼します!なーささんの作品を読ませてもらい、ホントに恥ずかしいですが泣いてしまいました…。素敵な作品を作って下さりありがとうございます!!なーささんの作品とても大好きです! (2023年4月1日 1時) (レス) id: 59651d7816 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - あんにょんさんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…励みになります(泣)これからも更新頑張りますね! (2023年2月10日 0時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
あんにょんさん(プロフ) - もう、ほんと、神作品すぎます…!いっそドラマ化してほしいくらいです笑 応援しています!! (2023年2月9日 15時) (レス) id: 999eb198b5 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます!尊敬だなんて……私にはもったいないお言葉です。(泣)これからもこまめな投稿を心掛けて頑張りますので、よろしくお願いいたします! (2021年7月13日 23時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なーさ | 作成日時:2021年6月15日 23時