第12章ー1,不意打ち ページ44
目を覚ますと、私は部屋のソファに1人で座っていた。
手のひらには2つに割れた黒い宝石。
肩には微かに誰かの温もりが残っている気がして、でも何もそれらしい事は思い出せなくて…
前にもこんなことがあった。
願いを叶えた直後、何か大切なことを忘れてしまったような感覚。
「○○…?」
突然後ろからそう名前を呼ばれて、すぐにそれが大好きな人の声だと気づいた。
『ジンオッパ…』
ジン「あれ…僕はどうしてここに…」
『オッパに会いたいって、願ったんです』
ジン「え…」
驚いた顔をした彼は、すぐに表情を暗くし、私に背を向ける。
ジン「…オッパ、もう行くね。」
『え……どうして?まだ再会したばかり…』
ジン「前も言っただろ。僕達は一緒に居ちゃいけない。」
『…』
ジン「それに……迷惑なんだよ。
オッパは忙しいから○○に構ってる暇無いの。じゃあね。」
冷たく突き放すようにそう言った彼の声は、震えていた。
…どうして泣いてるの?
本当は、私と同じ気持ちなんだよね…?
あの日私があなたに言えなかった5文字。
今なら言える気がするよ。
『…いかないで』
ジン「っ…」
『一人になるのは嫌。オッパとずっと一緒にいたいです。』
ジン「○○…」
『オッパが言ってくれたんですよ?
行って欲しくないなら行かないでって、言っていいんだって。』
“ヤー○○。君はまだそんな我慢を覚えなくていいんだよ。”
“寂しかったら寂しい、行って欲しくないなら行かないでって、言っていいんだ。”
いつかオッパが私に言ってくれた言葉。
私あの時、すごくすごく嬉しかった。
ジン「オッパも○○と一緒に居たいよ。
でも…」
『知ってます。』
ジン「…え?」
『全部聞きました。
誰からかは思い出せないですけど……きっと大切な人が教えてくれました。』
ジン「…」
『私はオッパと一緒に居たいです。たとえ長く生きられなかったとしても。』
ジン「○○…」
どこか嬉しそうな、でもどこか困ったような顔をした彼は、私を諭すように言葉を続けた。
ジン「○○?君はまだ若いんだ…これから僕より素敵な人が絶対現れる。だからそんなもったいないことしちゃいけないよ。」
眉を下げて微笑んだオッパは“わかった?”と言って優しく私の頭を撫でる。
『…私、オッパが思ってるよりも一途ですよ?』
ジン「え?」
チュッ…
ジン「…っ!」
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なーさ(プロフ) - Chocoさん» コメントありがとうございます!感動していただけたようで、とても嬉しいです…。温かいお言葉をありがとうございます!今後の作品も応援していただけると嬉しいです! (2023年4月1日 8時) (レス) @page49 id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
Choco(プロフ) - こんばんわ、初コメ失礼します!なーささんの作品を読ませてもらい、ホントに恥ずかしいですが泣いてしまいました…。素敵な作品を作って下さりありがとうございます!!なーささんの作品とても大好きです! (2023年4月1日 1時) (レス) id: 59651d7816 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - あんにょんさんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…励みになります(泣)これからも更新頑張りますね! (2023年2月10日 0時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
あんにょんさん(プロフ) - もう、ほんと、神作品すぎます…!いっそドラマ化してほしいくらいです笑 応援しています!! (2023年2月9日 15時) (レス) id: 999eb198b5 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます!尊敬だなんて……私にはもったいないお言葉です。(泣)これからもこまめな投稿を心掛けて頑張りますので、よろしくお願いいたします! (2021年7月13日 23時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なーさ | 作成日時:2021年6月15日 23時