11ー6,それでも会いたいと言うのなら ページ40
ユンギ「はぁ…」
『ゆん……ぎ?』
耳元で彼のため息が聞こえ、自分が今彼に抱きしめられていることに気づく。
ユンギ「…泣いてもいいけど、俺の見えないところで泣くのはやめろよ。」
弱々しくそう呟くと、彼は私を抱き締める腕にぎゅっと力を込めた。
『……』
ユンギ「…どした?どーして泣いてた?」
そう問いかけてきたユンギの優しい声に、止まっていた涙が再び溢れ出す。
私の背中をトントンと叩きながら“ゆっくりでいい”と言った彼に、さらに涙が溢れた。
ユンギ「きっと……ジンヒョンだろ?」
『ゔっ……っ………』
ユンギ「……そうだよな。辛いよな。」
彼に、私とジンヒョンとの間に起こった事など一度も話したことはないのに、まるで全てを知っているかのように彼はそう呟いた。
ユンギ「……会いたい?」
『……』
ユンギ「ジンヒョンに。」
『……うん』
ユンギ「命と引き換えにしても…?」
『…え?』
突然そんなことを聞いてくる彼に、思わず私は聞き返す。
ユンギ「もしも……もしもな?
ジンヒョンとお前が一緒にいると、お前の寿命が短くなっていくとして……
…その事を知ってるジンヒョンがお前を思って姿を消したとしたら、それでも会いたいか?」
『どういうこと…?』
ユンギ「……違う種族同士の恋愛は、簡単にはいかないものなんだよ。」
『それって…』
ユンギ「で、どーなの?それでもお前は会いたい?」
私から体を離すと、目を見てそう聞いてきたユンギ。
その目は冗談など言っているようには見えなくて、私は真実を悟った。
彼からの質問に少し考え込む。
でも、最初からきっと、私の中で答えは決まっていた。
『会いたいよ、それでも。』
ユンギの目をまっすぐ見つめ返してそう答えると、“そっか”と彼は視線を逸らした。
ユンギ「…長く生きられなくてもいいんだな?」
『辛い気持ちを抱えながら長く生きるくらいなら
……大好きな人と一緒に短い時間を大切に生きたいの。』
そう伝えると、しばらく黙り込んでしまったユンギ。
少ししてまた私に視線を向けると、ゆっくりと口を開いた。
ユンギ「……お前の願い、叶えてやるよ。」
『え?』
ユンギ「会いたいんだろ……その、大好きな人ってやつに。」
『ユンギ……』
ユンギ「ほら。」
そう言って両手を広げた彼に抱きつくと、意識が段々と遠のいていった。
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なーさ(プロフ) - Chocoさん» コメントありがとうございます!感動していただけたようで、とても嬉しいです…。温かいお言葉をありがとうございます!今後の作品も応援していただけると嬉しいです! (2023年4月1日 8時) (レス) @page49 id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
Choco(プロフ) - こんばんわ、初コメ失礼します!なーささんの作品を読ませてもらい、ホントに恥ずかしいですが泣いてしまいました…。素敵な作品を作って下さりありがとうございます!!なーささんの作品とても大好きです! (2023年4月1日 1時) (レス) id: 59651d7816 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - あんにょんさんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…励みになります(泣)これからも更新頑張りますね! (2023年2月10日 0時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
あんにょんさん(プロフ) - もう、ほんと、神作品すぎます…!いっそドラマ化してほしいくらいです笑 応援しています!! (2023年2月9日 15時) (レス) id: 999eb198b5 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます!尊敬だなんて……私にはもったいないお言葉です。(泣)これからもこまめな投稿を心掛けて頑張りますので、よろしくお願いいたします! (2021年7月13日 23時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なーさ | 作成日時:2021年6月15日 23時