君の願いを叶えてあげる２【BTS】[完]

１１ｰ４,君と見た星空 ページ38

『はぁ…』





ジンオッパが私の前から姿を消して、10日が経った。


その間、私はオッパの事ばかり考えてしまって、時々無意識にため息が出る。






ユンギ｢……｣


『あっ、ごめん…』





私のため息に反応してこちらを見つめてきたユンギの視線に気が付き、咄嗟に謝る。


そうだよね。ため息なんて聞いても気分悪いよね。





ユンギ｢……別に謝んなくてもいいけど。
…なぁ、今日の夜出掛けないか？｣


『え？どこに？』


ユンギ｢連れてきたいとこがあんだよ。｣


『…ほう？』


ユンギ｢気晴らしにもなるだろ｣


『…うん、そうだね！いこう！』





突然のユンギからの珍しい提案に少し驚いたけど、それが私を気遣っての事だと気づいたから、嬉しくて私はすぐにそれに乗った。


ーーーーーーーーーーーーーーー


時刻は夜の8時。


ユンギにそろそろ行くぞと言われ、支度を済ませて2人で玄関を出た。





『……で？どこに行くの？』


ユンギ｢んー、展望台？｣


『えっ、何しに？』


ユンギ｢星を見に｣


『え…』


ユンギ｢前に言ってたろ？星が好きだって｣


『うん……覚えててくれたんだ』


ユンギ｢たまたま思い出しただけだよ。
調べたらこの近くに展望台あるっぽいから……｣


『わざわざ調べてくれたの…？』


ユンギ｢え？いや……まぁ……｣





照れくさそうに視線を逸らすユンギ。


その姿が可愛くて、思わず笑ってしまう。





ユンギ｢……何笑ってんだよ｣


『いや……可愛いなって。笑』


ユンギ｢は？｣


『ふふ。ありがとう。』





“優しいね”と言うと、“そんなことねーよ”とぶっきらぼうに返してくる彼。


彼の思いやりに触れて、私はいつの間にかジンオッパのことを、その瞬間だけは忘れられていた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


『ついたぁ！』





家の近くの展望台。


ここに来たのは彗星ぶりだ。


地面はアスファルトになっていて、周りは木製の柵で囲まれた、広くはないけど居心地のいい空間。


すぐ下は海になっていて、耳を澄ますと波の音が静かに聞こえてきた。





ﾄﾞｻｯ





突然アスファルトの上に腰を下ろしたユンギは、そのまま大の字で地面に寝転がった。





ユンギ｢こうした方が星がよく見える。
……お前もやってみろよ。｣





そう言われて、私も彼の隣に腰を下ろし寝転がる。


そこには、いつの日か大好きな人と一緒に見た満天の星空が広がっていた。

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