11ー3,ドアの向こう側に ページ37
私に掛けられたのは、1枚のバスタオル。
ユンギ「……電球替えるから。早く服着て出てろ。」
そう冷たく言い放つと、落ちていた私のTシャツを拾ったユンギは、腰の抜けた私の肩をタオルの上から抱えるように立たせて脱衣所の外へと追い出した。
私はハッと我に返って、急いでそのTシャツを着る。
しばらくすると脱衣所から古い電球を持った彼が出てきた。
ユンギ「……替えの電球買ってある?」
『あ、玄関の収納に…今持ってくる…』
ユンギ「あー、いい。俺が取ってくる。
お前は風呂入ってろよ。」
『え?』
ユンギ「風呂場の電気はつくんだろ?
なら大丈夫じゃん。お前が入ってる間に脱衣所の電気つくようにしといてやるから。」
『でも、どこで服脱ぐの……脱衣所暗い……』
ユンギ「ドア開けとくなり、風呂場の電気つけるなりすれば良いだろ。
安心しろ、お前が風呂場に入るまで玄関に居といてやるから。」
正直暗闇が怖かったし、彼がいる隣でお風呂に入るは恥ずかしい気がしたけど……
たくさん迷惑をかけてしまった彼のせっかくの提案を却下するのが申し訳なくて、“わかった”と私は脱衣所に向かう。
彼はそのまま電球を取りに玄関へと向かった。
私は急いで服を脱ぎ、着替えの下着をバスタオルの下に隠してお風呂場に駆け込む。
少し経って、お風呂場の外からガチャガチャと電球を取り替える音が聞こえてきた。
静まり返ったお風呂場に、その作業音だけが響く。
湯船に浸かりながら、このドア1枚だけを挟んだ向こう側にユンギがいるのだと思うと、恥ずかしさでのぼせそうだった。
ユンギ「付け替え終わったからー。」
ドアの向こうからユンギの気だるげな声が聞こえてくる。
『あっ、うん!ありがとう!』
そう返事をすると、パチンッとドアの向こうに明かりがついて、ガチャンと脱衣所のドアを閉めて彼が出ていく音が聞こえた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
『電球、ありがとう』
お風呂から上がって再びそう伝えると、“おー”と気の抜けた返事が帰ってくる。
ユンギ「お前、意外と怖がりなのな。」
『え?』
ユンギ「電気が消えたくらいで腰なんて抜けねぇよ普通。」
『…お恥ずかしい限りです。』
ユンギ「ふはっ。まぁ、可愛んじゃねーの?」
『へ?』
サラッと言われた“可愛い”という言葉に、顔がぶわっと熱くなった。
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なーさ(プロフ) - Chocoさん» コメントありがとうございます!感動していただけたようで、とても嬉しいです…。温かいお言葉をありがとうございます!今後の作品も応援していただけると嬉しいです! (2023年4月1日 8時) (レス) @page49 id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
Choco(プロフ) - こんばんわ、初コメ失礼します!なーささんの作品を読ませてもらい、ホントに恥ずかしいですが泣いてしまいました…。素敵な作品を作って下さりありがとうございます!!なーささんの作品とても大好きです! (2023年4月1日 1時) (レス) id: 59651d7816 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - あんにょんさんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…励みになります(泣)これからも更新頑張りますね! (2023年2月10日 0時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
あんにょんさん(プロフ) - もう、ほんと、神作品すぎます…!いっそドラマ化してほしいくらいです笑 応援しています!! (2023年2月9日 15時) (レス) id: 999eb198b5 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます!尊敬だなんて……私にはもったいないお言葉です。(泣)これからもこまめな投稿を心掛けて頑張りますので、よろしくお願いいたします! (2021年7月13日 23時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なーさ | 作成日時:2021年6月15日 23時