第11章ー1,黒糖と白糖 ページ35
ジンオッパが居なくなった部屋で、ただ一人取り残された私。
静まり返った空間に、時計の針の音だけが響いていた。
「……っ………っ…オッパ…」
状況は理解出来ていないかったけど、涙だけは止まらなくて、私は彼の名前を呼びながらひたすら泣く。
もう……会えないの?もう二度と?
無理だよ……私はジンオッパがいない世界なんて考えられない。
私の中で、オッパの存在が大きくなりすぎてしまったんだ。
心は沈んでいく一方。
でも何故か、体調は良くなっていくのを感じた。
ポタッ…
流れる涙を拭う余裕もなく、そのままこぼれ落ちた雫は、手元の黒い宝石へと着地する。
ボワァン…
すると、その雫に反応したように、宝石がぼんやりと光を放ち始めた。
それはやがて強い光となり、私の目を眩ませる。
『っ……』
?「……どーも。おじょーさんはじめまして。」
突然頭上から気だるげな声が降ってきて、私はそっと目を開ける。
そこには冷めた目をして私を見下ろす一人の男性がいた。
『えっ……誰……』
?「ユンギ。」
『ゆん……ぎ?』
ユンギ「そ、俺の名前。
黒い宝石から出てきて、お前の願いを叶えに来た。よろしくな。」
『え……あ、○○です』
ユンギ「知ってる。」
『え?』
ユンギ「……泣いてんの?」
言い方はぶっきらぼうなのに、どこか私を気遣うようにそう聞いてくる彼。
ユンギ「まぁ、泣きたい時は泣けばいんじゃない。」
そう言ってベッドに座る私の横に腰を下ろすと、理由も聞かずに背中を優しく摩ってくれた。
案外彼は、優しい人なのかもしれない。
ユンギ「……だいたい、予想はついてる。」
『…え?』
ユンギ「お前の泣いてる理由。ジンヒョンだろ?」
『なんで知ってるんですか…?』
ユンギ「なんでも知ってるさ。妖精さんだからな。」
そう言うと彼は少し悪戯っぽく笑った。
まるでお砂糖みたいな甘い笑顔。
笑った時に上の歯茎が見えるのが特徴的で、可愛らしかった。
『ユンギさんってそんな風に笑うんですね』
ユンギ「は?」
『意外でした。可愛いです。』
ユンギ「何言ってんだこいつ」
気づくと自然と涙は引いていて、心も落ち着いていた。
初対面なのに、私を包み込むように安心させてくれる雰囲気のある彼。
ジンオッパの最後に残した言葉の意味が、少しわかった気がした。
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なーさ(プロフ) - Chocoさん» コメントありがとうございます!感動していただけたようで、とても嬉しいです…。温かいお言葉をありがとうございます!今後の作品も応援していただけると嬉しいです! (2023年4月1日 8時) (レス) @page49 id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
Choco(プロフ) - こんばんわ、初コメ失礼します!なーささんの作品を読ませてもらい、ホントに恥ずかしいですが泣いてしまいました…。素敵な作品を作って下さりありがとうございます!!なーささんの作品とても大好きです! (2023年4月1日 1時) (レス) id: 59651d7816 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - あんにょんさんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…励みになります(泣)これからも更新頑張りますね! (2023年2月10日 0時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
あんにょんさん(プロフ) - もう、ほんと、神作品すぎます…!いっそドラマ化してほしいくらいです笑 応援しています!! (2023年2月9日 15時) (レス) id: 999eb198b5 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます!尊敬だなんて……私にはもったいないお言葉です。(泣)これからもこまめな投稿を心掛けて頑張りますので、よろしくお願いいたします! (2021年7月13日 23時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なーさ | 作成日時:2021年6月15日 23時