9ー12,お人好し【ジミン視点】 ページ29
ジン「ジミナ、頼みがあるんだ。」
“ヒョンの代わりに、この子の傍にいてやってくれないか”
そうヒョンに言われた僕は特にその理由も聞かずに、すぐさま眠っている彼女の看病にあたった。
ずっと会いたかった彼女。
僕は胸を躍らせていた。
『ジンオッパ……どこ……?』
これが、眠りから覚めた彼女の最初の言葉だった。
ーーーーーーーーーーーーー
「………今日は一緒のお布団で寝よっ」
ジンヒョンのことで頭がいっぱいで、僕のことなんて眼中にないような○○ちゃんに腹を立てた僕は、勢いに任せてそんなことを言った。
なんで?と不思議そうにしながらも、すんなりOKしてくれた○○ちゃん。
それが余計に僕を異性として意識していない事実を突きつけてきて、胸が痛んだ。
ちょっとでも僕を見て欲しくて、少し男らしく振る舞ってみたりする。
どさくさに紛れて抱きしめた○○ちゃんの体はとても小さくて、今にも壊れてしまいそうだった。
しばらくして、彼女の気持ちよさそうな寝息が聞こえてくる。
僕はこんなにも心臓がドキドキして、眠れないというのに。
『ジンオッパ…』
○○ちゃんは目を瞑りながら、寝言でそう呟いた。
段々と眉間に皺が寄っていって、彼女は一筋の涙を流す。
心がギュッと締め付けられて、我慢出来ずその眉間に優しくキスをした。
すると彼女の表情は和らいで、少しだけ微笑む。
「僕じゃダメかな…?」
君の笑顔の理由が、全部僕ならいいのに。
一緒にいるだけで笑っていてくれるなら、いくらでも傍にいるよ。
君の涙の理由が、全部僕ならいいのに。
僕のことで涙を流すなら、ごめんって言って強く抱き締めるよ。
……でも君の瞳の中に、僕はいない。
君は誰と居ても、きっとジンヒョンのことを想うんだ。
ーーーーーーーーーーーーー
『お願い…!私を美雅の所に行かせて!』
今にも泣き出しそうな彼女は、そう言って僕を見つめた。
……ずるいよ。そんなの、断れるわけないじゃん。
「わかったよ」
『ほんと…!』
「うん、もちろん。
……僕を抱きしめて、強く願って?」
『わかった…!』
君の気持ちが、僕に向くことはきっと無い。
それなら僕は、お人好しな僕でいたい。
僕が好きでいられる僕でいたい。
ギュッ…
けど君を抱きしめた時、気づいたんだ。
僕は僕自身よりも、君に好きになってもらいたかったんだって。
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なーさ(プロフ) - Chocoさん» コメントありがとうございます!感動していただけたようで、とても嬉しいです…。温かいお言葉をありがとうございます!今後の作品も応援していただけると嬉しいです! (2023年4月1日 8時) (レス) @page49 id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
Choco(プロフ) - こんばんわ、初コメ失礼します!なーささんの作品を読ませてもらい、ホントに恥ずかしいですが泣いてしまいました…。素敵な作品を作って下さりありがとうございます!!なーささんの作品とても大好きです! (2023年4月1日 1時) (レス) id: 59651d7816 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - あんにょんさんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…励みになります(泣)これからも更新頑張りますね! (2023年2月10日 0時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
あんにょんさん(プロフ) - もう、ほんと、神作品すぎます…!いっそドラマ化してほしいくらいです笑 応援しています!! (2023年2月9日 15時) (レス) id: 999eb198b5 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます!尊敬だなんて……私にはもったいないお言葉です。(泣)これからもこまめな投稿を心掛けて頑張りますので、よろしくお願いいたします! (2021年7月13日 23時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なーさ | 作成日時:2021年6月15日 23時