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9ー11,六つ目の願い ページ28

美雅「……は?何言って…」


『ごめんって、謝ってたでしょ。私はちゃんと聞こえてたよ。』


美雅「……」


『今からならきっと間に合うよ。私からも先生に言って退学を…』


美雅「間に合わない。」


『え…?』





私の言葉を遮った彼女は、光を失った目でそう呟いた。





美雅「もう遅いの。戻れないの。」


『でもまだ…』


美雅「退学のことじゃない。私自身のこと。
……私はこうすることでしか関心を得られない」


『…え?』





そう言った美雅は、遠くを見つめるようにしてふふっと笑った。





美雅「お母さんがね、初めて私の事で泣いてくれたの。
“どうしてこんな子になっちゃったの”って。
初めてお母さんが、私を見てくれた…」


『え…』


美雅「でも、数日も経てばすぐに元に戻っちゃった。
いじめ…万引き…退学…次は何をしたら私を見てくれるかな?」


『何言って…』





明らかに様子がおかしい美雅。


まるで、心のネジが外れてしまったかのように。





美雅「………死んだら、見てくれるかな。」


『……は?』





ガチャン





『ちょ、ちょっと!』





最後に少しだけ微笑んだ美雅は、勢いよく玄関のドアを閉め、鍵をかけた。


嫌な予感がする。というかこんな状況、嫌な予感しかしない。





ダンダンッ!ダンダンッ!





『美雅!!開けて!!お願い!!』





必死にドアを叩いてそう叫んでも、一向に返事がない。


どうしよう……このままじゃあの子……





ジミン「○○?!どうしたの?!」





私の叫び声を聞いて駆けつけたらしいジミンが、驚いた表情をしてそう聞いてきた。





『ジミナ…どうしよう!あの子、本当に死ぬ気かもしれない!』


ジミン「は?!」


『わからないけど……そんな風なことを言ってドアに鍵をかけたの!』


ジミン「…ちょっとそこ避けてくれる?」





そう言うと、ジミンは少し後ろに下がって助走をつけ、玄関のドアへと体をぶつけた。


だが、割と立派な一軒家の扉だ。そう簡単には壊れない。


近くに窓ガラスを割れそうなものもなくて、探している時間もない。


今この瞬間も、美雅が“それ”を行動に移そうとしているかもしれないと考えたら、いてもたってもいられなかった。





『ジミナ…!

……お願い事、私使う!!』


ジミン「えっ…」


『お願い…!美雅を助けたいの!』


ジミン「……」


『私を美雅の所に行かせて…!!』


ジミナ「……わかったよ」

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作品ジャンル:恋愛
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なーさ(プロフ) - Chocoさん» コメントありがとうございます!感動していただけたようで、とても嬉しいです…。温かいお言葉をありがとうございます!今後の作品も応援していただけると嬉しいです! (2023年4月1日 8時) (レス) @page49 id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
Choco(プロフ) - こんばんわ、初コメ失礼します!なーささんの作品を読ませてもらい、ホントに恥ずかしいですが泣いてしまいました…。素敵な作品を作って下さりありがとうございます!!なーささんの作品とても大好きです! (2023年4月1日 1時) (レス) id: 59651d7816 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - あんにょんさんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…励みになります(泣)これからも更新頑張りますね! (2023年2月10日 0時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
あんにょんさん(プロフ) - もう、ほんと、神作品すぎます…!いっそドラマ化してほしいくらいです笑 応援しています!! (2023年2月9日 15時) (レス) id: 999eb198b5 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます!尊敬だなんて……私にはもったいないお言葉です。(泣)これからもこまめな投稿を心掛けて頑張りますので、よろしくお願いいたします! (2021年7月13日 23時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なーさ | 作成日時:2021年6月15日 23時

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