9ー8,負の連鎖とお節介 ページ25
しばらくして美雅の停学期間が終わり、学校へと再び通ってくるようになった。
でも周りの美雅を見る目は以前よりも冷たくて、見ているこっちまで辛くなるほどだった。
「なぁ……万引きとかやばくね?」
「でも盗ったのチョコレート一つだけらしいよwwしょぼww」
「やめろよww聞こえるってww」
美雅「……」
わざと聞こえるような音量で、噂話をするクラスメイト。
すごく嫌な感じだ。
恐らく聞こえているだろう美雅は、聞こえていないようなふりをして視線を窓の外に移した。
「いじめに万引きにって、終わってんなーwww」
わざとらしく大きめの声でそう言った男子の声は、教室中に響いた。
一瞬、クラス中が静まり返って、しばらくしてからクスクスと笑い声が聞こえ始める。
バンッ!
急に大きな音をたてて立ち上がった美雅は、何も言わずに教室を出ていった。
「うわー、いじめっ子怒らせちゃったよwww」
『っ……』
何がいじめだ。
お前らだって今、同じことをしてるじゃないか。
私が標的だった時は助けもせず、クラス全体で見捨てた癖に。
こういうことが、負の連鎖を産む。
確かに私はあいつが嫌いだけど、こんなことは望んでない。
ガタンッ
明里「○○?!」
『ごめん、私行ってくる』
無意識に席から立ち上がっていた私は、すぐに出ていった美雅を追いかけた。
余計なお世話かもしれない。
いじめてた相手に同情されるなんて屈辱かもしれない。
けど、勝手に体が動いていたんだ。
あの子は、一人にしちゃいけない気がした。
万引きも、いじめも…何かのSOSだったんじゃないの?
多分それに気づいてあげられるのは、私なんじゃないかって、勝手な使命感に駆られて、ただただ彼女を追いかけた。
『美雅!!』
階段の踊り場で彼女を見つけ、そう呼びかける。
少し驚いた顔をして振り向いた彼女は、すぐに立ち去ろうとしたため急いで腕を掴んだ。
美雅「離して!」
『嫌だ!』
美雅「なんなの?!蔑みにきたの?
自分を虐めてた相手を助けて、優越感に浸りたいわけ?」
『そんなんじゃ…!』
美雅「もうほっといて!!」
ドンッ
『きゃっ!…』
ダダダダッ
美雅に肩を強く押されてバランスを崩した私は、そのまま階段の下へと転がり落ちた。
『いっ………た………』
美雅「えっ……ごめっ……」
先生「ちょっと!何してるの!」
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なーさ(プロフ) - Chocoさん» コメントありがとうございます!感動していただけたようで、とても嬉しいです…。温かいお言葉をありがとうございます!今後の作品も応援していただけると嬉しいです! (2023年4月1日 8時) (レス) @page49 id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
Choco(プロフ) - こんばんわ、初コメ失礼します!なーささんの作品を読ませてもらい、ホントに恥ずかしいですが泣いてしまいました…。素敵な作品を作って下さりありがとうございます!!なーささんの作品とても大好きです! (2023年4月1日 1時) (レス) id: 59651d7816 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - あんにょんさんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…励みになります(泣)これからも更新頑張りますね! (2023年2月10日 0時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
あんにょんさん(プロフ) - もう、ほんと、神作品すぎます…!いっそドラマ化してほしいくらいです笑 応援しています!! (2023年2月9日 15時) (レス) id: 999eb198b5 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます!尊敬だなんて……私にはもったいないお言葉です。(泣)これからもこまめな投稿を心掛けて頑張りますので、よろしくお願いいたします! (2021年7月13日 23時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なーさ | 作成日時:2021年6月15日 23時