9ー7,戦の前の腹ごしらえ ページ24
次の瞬間……
『えっ……』
美雅は小さなチョコレート菓子をポケットに入れると、その場を立ち去った。
それはどこからどう見ても、万引きだった。
驚きのあまり思考が停止した私は、彼女を止めることも出来ず呆然と立ち尽くす。
ハッと我に帰って彼女を追うと、スーパーの入口付近で店長と思わしき男性に手首を掴まれている美雅の姿があった。
あまりに挙動不審だったため、目をつけられていたらしい。
彼女は手首掴まれたまま、店の奥へと連れていかれた。
次の日学校に行くと、美雅は停学になっていた。
万引き、いじめ、様々なことが発覚し、それに至ったらしい。
私はモヤモヤした気持ちを抱えながら、帰路についた。
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『ジミナはさぁ……間違ったことをしてる人がいたらどうする?』
ジミン「モゴモゴ……急にどぉしたの?」
隣でモグモグとマシュマロの袋を抱えて食べているジミンに、ふとそんなことを聞いてみる。
『………なんとなく聞いてみたかったの。
ジミナならどうする?』
ジミン「えー?うーん、注意する、かなぁ?」
『じゃあその人が、自分がものすごく恨んでいる人だったとしたら?
……注意しなければ、その人は罰を受けることになるの。そうだったとしても注意する?』
ジミン「………うーん」
『……ごめん、変なこと聞いて。忘れていいよ。』
ジミン「……僕は、注意するかな」
『え?』
ジミン「間違ったことをしてる人には、どんな人であっても教えてあげる。
僕はそういう人でいたいから」
そう言ってニコッと笑ったジミンは、言葉を続けた。
ジミン「○○ちゃんも。そうやって僕に聞くってことは、心のどこかでは助けなきゃって思ってるってことなんじゃない?」
『……』
ジミン「○○ちゃんが、すっきりする選択をしたらいいよ。
自分が好きでいられる自分でいた方がいい。
恨んでる奴なんかのために、嫌な自分になる必要はないと思うんだ。」
そんな彼の言葉に、私はハッとさせられた。
きっと、ずっと感じていた心の気持ち悪さの理由はこれだったのだ。
ジミン「○○ちゃんはお人好しだからね。
助けてあげなよ、その子のこと。」
『……そうだね』
腹が減っては戦は出来ぬ!と最近覚えたであろう格言を言いながら私の口にマシュマロを詰めてきた彼に、私は自然と笑顔になった。
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なーさ(プロフ) - Chocoさん» コメントありがとうございます!感動していただけたようで、とても嬉しいです…。温かいお言葉をありがとうございます!今後の作品も応援していただけると嬉しいです! (2023年4月1日 8時) (レス) @page49 id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
Choco(プロフ) - こんばんわ、初コメ失礼します!なーささんの作品を読ませてもらい、ホントに恥ずかしいですが泣いてしまいました…。素敵な作品を作って下さりありがとうございます!!なーささんの作品とても大好きです! (2023年4月1日 1時) (レス) id: 59651d7816 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - あんにょんさんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…励みになります(泣)これからも更新頑張りますね! (2023年2月10日 0時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
あんにょんさん(プロフ) - もう、ほんと、神作品すぎます…!いっそドラマ化してほしいくらいです笑 応援しています!! (2023年2月9日 15時) (レス) id: 999eb198b5 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます!尊敬だなんて……私にはもったいないお言葉です。(泣)これからもこまめな投稿を心掛けて頑張りますので、よろしくお願いいたします! (2021年7月13日 23時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なーさ | 作成日時:2021年6月15日 23時