7ー3,無自覚は厄介 ページ3
ホソク「わー、○○ー!」
……こう言って笑顔で抱きついてくるのがホソクさんの癖。
最初のうちは顔を真っ赤にして怒っていた私だけど、今はもうだいぶ慣れた。
ホソク「○○はやっぱり可愛いなー!」
『っ……』
しばしばぶつけられる“可愛い”というワードには、まだ耐性がついていないけれど。
ホソク「…………お、シャンプー変えた?」
そう言って、私の髪の毛に鼻をつける勢いで匂いを嗅ぐホソクさん。
相変わらず距離感がバグっている。
『っ!……ちっ……近いです!』
ホソク「おっと……ごめんごめん」
頭をかきながら眉を下げて謝る姿は本当に申し訳なさそうで、彼は無自覚なのだと思い知らされた。
………無自覚ほど厄介なものは無い。
『……大丈夫ですよ。
シャンプー、最近CMでやってるやつに変えてみたんです。どうですかね…?』
ホソク「おー!そうなんだ!
………良いと思うよ。僕は好き。」
『………………はぁ。』
ホソク「?」
本当に悪気はないんだろうけど、なんかこう……言葉選びがいちいち異性をドキッとさせるというか………ね?
『ホソクさん、女絡みで苦労しそうですね。』
ホソク「急に何?!」
『気をつけてくださいね。』
ホソク「え、何怖い!」
僕何かした…?と上目遣いで顔を覗き込んでくる彼。
“殺されないうちに”と、私は一人で逃げるように買い物へ出かけた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
家を出た時刻が夕方だったこともあって、スーパーを出ると辺りはもう薄暗くなり、街灯が灯り始めていた。
あまり帰りが遅くなると、心配性なホソクさんに叱られそうだ。
家を出る時も“もう遅いから行くのやめなよー”とリビングから叫んでいた気がする。
生憎、私も暗い所が得意ではない。
いつかの帰り道のように、私は早足で家へと急いだ。
『…』
背後から、前にもあったような、嫌な気配を感じる。
パタ…………パタ…………
二重で聞こえる足音。
間違いない。以前のストーカーだ。
パタ…パタ…
背後の足音が次第に速くなる。
………やばい、追いつかれる。
『……ひゃっ!』
突然肩を掴まれて、近くの塀に押し付けられた。
あまりの恐怖で私は目を瞑る。
「………ねぇ、前に一緒にいた男、誰?」
そう耳元で響いた低くて冷たい声は、
間違いなく聞き覚えのある声だった。
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なーさ(プロフ) - Chocoさん» コメントありがとうございます!感動していただけたようで、とても嬉しいです…。温かいお言葉をありがとうございます!今後の作品も応援していただけると嬉しいです! (2023年4月1日 8時) (レス) @page49 id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
Choco(プロフ) - こんばんわ、初コメ失礼します!なーささんの作品を読ませてもらい、ホントに恥ずかしいですが泣いてしまいました…。素敵な作品を作って下さりありがとうございます!!なーささんの作品とても大好きです! (2023年4月1日 1時) (レス) id: 59651d7816 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - あんにょんさんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…励みになります(泣)これからも更新頑張りますね! (2023年2月10日 0時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
あんにょんさん(プロフ) - もう、ほんと、神作品すぎます…!いっそドラマ化してほしいくらいです笑 応援しています!! (2023年2月9日 15時) (レス) id: 999eb198b5 (このIDを非表示/違反報告)
なーさ(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます!尊敬だなんて……私にはもったいないお言葉です。(泣)これからもこまめな投稿を心掛けて頑張りますので、よろしくお願いいたします! (2021年7月13日 23時) (レス) id: 292eed826b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なーさ | 作成日時:2021年6月15日 23時