43、日常 ページ45
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鳥の囀ずりが聞こえた。朝だろうか。
ゆっくりと瞼を開ければ見慣れた景色が目に入った。
ボロボロの天井……ここは…累の家?
もぞっと動こうとして私は誰かに抱きしめられてることに気づいた。横をそっと向けばそこには柔らかい眼差しでこちらを見つめる累がいた。
「…おはようA」
私はまだ夢を見ているようだ。
「おはよう累」
まだ隣に累がいることが嬉しくてにこりと笑えば累は優しい手つきで私の頰を撫でる。
それが少しくすぐったくて、累にくすぐったいと伝えようとして、ふと思った。
あれ?くすぐったい?
夢なのにくすぐったい…?
え…もしかして……
ペチンッと思いっきり自分の頰を叩いた。
私のいきなりの奇行に累が驚いたようにこちらを見る。
「え、いきなりどうしたの?」
「……………夢、じゃない……」
痛い、夢じゃない…。
夢じゃないんだ。
え?……….じゃあこの累も本物…………?
じゃああの時のも夢じゃなかったってこと………?
そう思った瞬間、嬉しさと恥ずかしさが一気に襲ってきた。
累がまた私の側にいるのは嬉しい。
けど、それと同時に累の前で晒した醜態を思い出す。
私累の前でギャン泣きしながら謝罪して自分の過去をペラペラと喋ってた気がする…。
てっきり夢だと思ってたのにまさか現実だったなんて……
人前で泣いたことも、ましてや自分の過去の話なんて誰にもしたことないのに………
精神的に参ってたとはいえあれはない。黒歴史すぎる。
恥ずかしさのあまり布団を被る。
「累…あの時のこと全部忘れて」
「あの時のことって?」
「…………私が…累に過去の話とかいろいろしたでしょ?あの時のこと……」
「…なんで?」
「いいから」
「…………」
バサっと無理やり布団を剥ぎ取られた。
「ちょっ…!」
「ぷっA顔真っ赤じゃん」
クスクスと笑う累に更に顔に熱が集まるのを感じる。
「累のバーカ!もう知らない!」
ぷいっとそっぽを向けば累がごめんごめんと謝ってきた。
「…僕はAのこといろいろ知れて良かったよ。いつもAは自分のことは絶対に語らなかったから……だからAの本当のこと知れて嬉しかった」
そう言って嬉しそうに微笑む累に心臓がドクン、と脈打った。
……なにこれ、なにこの気持ち。
こんな気持ち知らない。
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たぴ(プロフ) - こなみさん» どストライクなんて…!ありがとうございます(号泣)頑張って描いたんで嬉しいです!応援ありがとうございます…! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - カカオお豆さん» カカオお豆さん…!いつも嬉しい感想ありがとうございます!更新もりもり頑張ります! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こなみ(プロフ) - 夢主ちゃんの絵見たんですが可愛すぎて鼻血でました。ドストライクです!次の話の予告も夢主ちゃんどうなっちゃうのかめっちゃ気になってしにそうです…!陰ながらいつも応援してます!! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bdb7f5122 (このIDを非表示/違反報告)
カカオお豆(プロフ) - 予告の作り方上手くないですか!?めっちゃ気になるんんンンン!!!便新頑張ってください! (2019年10月21日 18時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - らにさん» わわわ嬉しい感想ありがとうございます…!一番好きだなんて嬉しすぎて泣きそうです(泣) (2019年10月19日 12時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぴ | 作成日時:2019年9月1日 11時