37、過去 参 ページ39
.
どのくらい叫んだか分からない。声が枯れるくらい叫んだ。誰もやめてくれなかった。
お兄ちゃんは原型が分からなくなるくらい殴られた後、まだ生きてるのに火をつけられた。
最後にお兄ちゃんの口元が何かを伝えようと小さく動いた。
_____ごめんな
そしてお兄ちゃんの断末魔が響いた。
その光景を涙を流しながら見ていた。
「……あぁ、あ……にぃ、ちゃ………」
なんで…なんでお兄ちゃんがこんな目に合わなきゃいけないの?お兄ちゃんは何も悪いことしてないのに。
お兄ちゃんが鬼の仲間?そんな訳ないじゃない。
なんでお兄ちゃんが、優しいお兄ちゃんが、殺されなきゃいけないの?
……鬼よりも人間の方がよっぽど怖くて、醜くて、汚いじゃない。
こいつらが……
こいつらが死ねば良かったのに_____
そう思った瞬間、目の前が真っ赤に染まった。
気づけばみんな死んでいた。
私は赤い血溜まりの中心に立っていた。手にはいつの間にか包丁を持っていて、人を切り裂いた感触が今でも残ってる。
赤い血溜まりは薔薇のように綺麗だった。まるでお花畑みたい。
「ば…ばけも、の…!」
まだ生きている村人がいた。
包丁を振り下ろせばザシュッと皮膚と肉の切れる感触がした。その感触が楽しくて何度も何度も振り下ろす。
「あは、あははははは。……きれいだねぇ…きれいだねぇ…」
吹き出る真っ赤な血はとても綺麗だ。こんな醜い人間でも中身はこんなに綺麗なのを知った。
嗚呼、素敵。
もっと綺麗にしてあげる。
どれほどの時間切り続けたかは分からない。
赤くて綺麗なお花畑からお兄ちゃんを探す。村人に混じって黒く焦げた、もう人の形かどうかも分からないくらいボロボロのお兄ちゃんを見つけた。
「……おにいちゃん…みて、私…おにいちゃんのためにお花畑つくったの……きれいでしょ…?…………………ねえ……いつもみたいにほめてよおにいちゃん…………ねえ…なんで返事をしてくれないの……?……ねえ………
私を、一人にしないで………」
私はお兄ちゃんを抱きしめながら壊れたように泣き続けた。
この日から私はひとりぼっちになった。
.
570人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たぴ(プロフ) - こなみさん» どストライクなんて…!ありがとうございます(号泣)頑張って描いたんで嬉しいです!応援ありがとうございます…! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - カカオお豆さん» カカオお豆さん…!いつも嬉しい感想ありがとうございます!更新もりもり頑張ります! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こなみ(プロフ) - 夢主ちゃんの絵見たんですが可愛すぎて鼻血でました。ドストライクです!次の話の予告も夢主ちゃんどうなっちゃうのかめっちゃ気になってしにそうです…!陰ながらいつも応援してます!! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bdb7f5122 (このIDを非表示/違反報告)
カカオお豆(プロフ) - 予告の作り方上手くないですか!?めっちゃ気になるんんンンン!!!便新頑張ってください! (2019年10月21日 18時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - らにさん» わわわ嬉しい感想ありがとうございます…!一番好きだなんて嬉しすぎて泣きそうです(泣) (2019年10月19日 12時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たぴ | 作成日時:2019年9月1日 11時