23、偽物の絆 弐 ページ24
累side
本当は逃げた訳じゃないって言ってほしかった。
なのにAは何も言わない。バツが悪そうな顔をして目を合わせようともしなかった。
ああ、やっぱり逃げようとしてたのか。
そう思った瞬間全てがどうでもよくなった。
やっと掴んだ絆は本物の絆ではなかったと気づいた。Aも同じ気持ちだと思ってたのに違ったんだ。
全部、全部。
僕の思い過ごしだったんだ。
「……いいよ、もう」
そう言い捨てて呆然とするAに次々と酷い言葉をぶつけていく。
歪んでいく。
次々と出てくる言葉が止まらない。
怒りと悲しみに支配された僕の言葉は止まることを知らない。
思ってもない言葉が次々とでてくる。
そしたらしばらく呆然としていたAがやっと口を開いた。
「…はっ。自分で私のこと攫っておいてよくそんなこと言えるよねえ。妹?バッカじゃないの?私は累のこと一度だって兄だと思ったことないよ。せいぜい誘拐犯ぐらいとしか思ってないから。そうやって馬鹿みたいに家族をずっと探してればいいんじゃない?なーんでも言うこと聞いてくれる恐怖で支配してるだけの偽物の家族をさ。累だけだよみんなを家族なんて思ってるのは。他の家族もみんな累なんて家族とすら思ってない、ただの家族ごっこが好きな気が狂った鬼としか思ってないよ。累には一生本物の家族なんて手に入ら…」
最後まで聞きたくなくて、力任せに地面を切り裂いた。
もうAの口からそんなこと聞きたくなかった。
もうAの顔も見たくなかった。
本当なら手足をもいでも側に置いて置こうと思った。逃げられないように、僕だけを見て僕だけを呼んでくれればいいと思った。
でも僕は自由奔放なAが好きだった。
だから手足をもいでまで側に置こうという考えはいつのまにか消え失せた。
今まで逃げようとしてた家族はみんな殺してきた。裏切った家族はみんな。
だけどAを殺そうとは思わなかった。
ここまで言われてもAを殺そうとなんて思えなかった。
なんだかんだ僕はAには甘い。
Aの言う通り本当に僕は…
「馬鹿だなぁ…」
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たぴ(プロフ) - こなみさん» どストライクなんて…!ありがとうございます(号泣)頑張って描いたんで嬉しいです!応援ありがとうございます…! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - カカオお豆さん» カカオお豆さん…!いつも嬉しい感想ありがとうございます!更新もりもり頑張ります! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こなみ(プロフ) - 夢主ちゃんの絵見たんですが可愛すぎて鼻血でました。ドストライクです!次の話の予告も夢主ちゃんどうなっちゃうのかめっちゃ気になってしにそうです…!陰ながらいつも応援してます!! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bdb7f5122 (このIDを非表示/違反報告)
カカオお豆(プロフ) - 予告の作り方上手くないですか!?めっちゃ気になるんんンンン!!!便新頑張ってください! (2019年10月21日 18時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - らにさん» わわわ嬉しい感想ありがとうございます…!一番好きだなんて嬉しすぎて泣きそうです(泣) (2019年10月19日 12時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぴ | 作成日時:2019年9月1日 11時