今日も彼女は想うだけ【煉獄杏寿郎】

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どこが好きなんですか？

好きになったきっかけはなんですか？

普段どんな話をするんですか？


ずっと気になっていた。
こういった話は一切してこなかったから。




「……帰り際に手を握ってみたのだが」




まさか手を握ってしまう程
想いを寄せていたなんて思わなくて

信じたくなくて
震える指先をブレザーの中に隠した。




昨日見たドラマの最終回で
主演の女性はこう言った。


「あなたを想い続けて良かった」

「諦めなくて良かった」


上司と部下の恋愛ドラマで
一年越しの恋が実るって内容。


最終回が終わったあとに
二人が両想いになるシーンを
巻き戻して何度も見た。

先生を想い続けたら私も…なんて
胸をドキドキさせながら。



「まずは自分を知ってから相手を知る」



女性の言葉はどれも心に響くものばかりだった。

何があっても諦めずに真っ直ぐに上司を想っていた。



だから私もこれから先もずっとずっと先生を想い続ける。

でも迷惑はかけない。何があっても。








「私は失敗するのが怖くて何もできないので
私は、そんなせ、んせいを、尊敬、して…ます」


そう思うのに、気づいたら先生の顔が滲んで見えなくて、声が震えてうまく話せなくて、涙が零れ落ちる前にその場に立ち上がった。



「次体育で、行かないと」

「乙葉」

「冨岡せん、せの、お手伝いが」



一刻も早く階段を下りたいのに



「こちらを向きなさい」



先生に手首を掴まれて、身体が動かない。




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