ブラック本丸に来た不思議な見習い

二十四日目　膝丸side ページ45

あの本丸に見習いが来るらしいが、どうせ乗っ取りだろう。
Aにはあんな過去(・・・・・)もある故、もし乗っ取られたりでもしたら…。
Aは怖くはないのだろうか？

兄者が怖くないのか、と聞いた時、返ってきたのは不安や恐怖、悲しみを隠すときの笑みだった。
やはり、またあのような目に遭うのが嫌なのだろう…。

それでも、Aは俺達に心配をかけまいと笑っている。


あぁ……やはり、Aはどこまでも優しいな。
分かりにくいがしっかりとした温もりを感じられる優しさも、普段のあの笑みも、心配をかけまいとするいじらしさも、全てが愛しい。

そこに惚れ込んで、俺達はAと契約をし、"約束"をした。


無いとは思うが、もし仮に奴等がAを裏切ったら……Aは、何もせずに引き下がるだろう。
それでは俺の気が収まらない。
しっかりと罰を与えるべきだ。
だが、果たしてAはそれを受け入れてくれるのだろうか…？


『私は、面白い事にしか興味無いよ』


パッと顔を上げると、Aは俺達に何時ものように微笑んでいた。

………やはり、俺達の目に狂いはなかったな。兄者。
何があっても、俺達はAの味方だ。

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