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反対側のコートには、見知った先輩の顔ばかり。
体格差も感じつつ、伝わってくる熱気はまどちゃんと似たもの。
「まどちゃん…これ勝てる?」
「勝たないっていう選択肢はそもそもないから。」
「でも…あの人って。」
「だから負けたくないの。」
まどちゃんのスポ魂をさらに燃やす相手。
去年、引退をしていった3年のバレー部の部長さん。
憧れの先輩に負けたくないって昨日から言ってたけど。
決勝じゃなくて準決勝で当たる辺りがまどちゃんなんだよなぁ。
運動能力は下の下の下、日頃運動不足の私。
休憩と呼ばれるインターバルの時間で復活するわけもなく。
はじめってしまった試合、それが進むにつれて足はもつれ気味。
ただでさえ鈍い動きに磨きが掛かってる状態。
この状態でも助かってるのは、完全にチーム編成。
なによりも私のことをみんながらフォローしてくれてるってことに尽きる。
向こうチームにまどちゃんが早いアタックを決めてサーブ権がうつる。
サーブをするのはまどちゃんの憧れの先輩だ。
「せんぱーい!がんばれー!!」
ちょうど斜め上あたりで樹くんが大きな声を出して手を振ってる。
ちらっと見て、小さく手を振ってるとまどちゃんが振り向いた。
「わんこのためにも負けないんだからね!」
そう言って先輩のサーブを待つように腰を落とす。
このまどちゃんの背中は、華奢で細いのにほんとに心強い。
頑張らないとっていう気持ちにさせるのはそれだけじゃない。
試合中、何度が樹くんの声が体育館に響く。
告白をされたあの日から聞き分けられるだけ会話をしてきた。
たくさん聞こえる声の中、樹くんの声だけやたらクリアに聞こえる。
ピッいう笛の音が聞こえた瞬間、すごい速さでボールが飛んでくるのが見えた。
見えたけど・・・動けない・・・終わった。
「みな!よけて!」
振り返るまどちゃんを見ながら、顔面に受けた強い衝撃。
腰を落として構えてた私はそのまま後ろにバタンと無抵抗に倒れる。
体育館にはすごい音と試合を止める笛の音が響いた。
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初音(プロフ) - kikiさん» いえいえ!この作品の樹君がすごく好きで!これからも応援してます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - 初音さん» なんとお恥ずかしい・・・!rを打ってしまったことに気づいた時にはもう初音様がお読みになられて・・・早速読んで頂き誤字を教えてくださりありがとうございます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: efa8082a4b (このIDを非表示/違反報告)
初音(プロフ) - Mrsだと既婚者になってしまいますよ(苦笑) (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiki | 作成日時:2019年2月13日 1時