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「声掛けねーの?」
「うん。忙しそうだし、いいよ。大丈夫。」
「お前どっか行きたいとこある?」
「私は特にないから、安井決めていいよ。」
「じゃあ後輩んとこ行くからちょっと付き合って。」
「わかった。」
どんどん遠くなる中庭が名残惜しくてちらっと振り返ると樹くんと目が合う。
手を振ろうと右手を途中まであげたけど、目をそらされてしまった。
いつも絶対見せてくれた、ひまわりみたいな笑顔が見れなかった。
明日のバスケ楽しみにしていることくらい伝えたかったな。
「謙ちゃんいらっしゃいませ。」
「あらーん。混んでる?」
「いや今は全然。入っていきます?」
「そのつもり。中に宮近と神宮寺もいるんでしょ?」
「お化けになりきってますよ。」
「はは。逆に脅かしてやろっかなー。」
着いたのは1Aのお化け屋敷。
入口にはでかでかとカップル限定の文字が掲げられてる。
「謙ちゃん南先輩と付き合ってんすか?」
「じゃないけどいいっしょ?女に見えるでしょ?」
「すっごい失礼。入らないからね。」
「写真部誰のおかげで撮れたんだっけ?」
そう言ってわるーい顔をしてにやにや私を見てくる。
「南先輩可愛いですね。」
「は?どこが?
口悪いぞー顕嵐が思ってるような女じゃないぞー。」
「美術部の紹介んとこダントツ可愛かったっす。」
「どうも…ありがとう。」
「照れてんなよー。ほら行くぞー。」
そう言って入ったお化け屋敷は安井の見知った後輩ばかりで怖くなかった。
サッカー部の子たちは私と安井を見てぎゃーすかうるさかった。
出口にたどりつくと、サッカー部の先輩と合って話し込む安井を置いて校内をふらつく。
中庭が見える渡り廊下に差し掛かってふと樹くんを探しながら歩く。
隣のクラスのあずとさっちゃんと写真を撮る樹くんが目に入った。
「私とは写真撮ってくれなかったのに。」
小さくつぶやいて美術部の展示教室まで重い足を動かした。
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初音(プロフ) - kikiさん» いえいえ!この作品の樹君がすごく好きで!これからも応援してます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - 初音さん» なんとお恥ずかしい・・・!rを打ってしまったことに気づいた時にはもう初音様がお読みになられて・・・早速読んで頂き誤字を教えてくださりありがとうございます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: efa8082a4b (このIDを非表示/違反報告)
初音(プロフ) - Mrsだと既婚者になってしまいますよ(苦笑) (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiki | 作成日時:2019年2月13日 1時