わたしとわんこ #01

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「ってかさペンキもだけど全部持って帰ってくんの？」

「今日からもう作る？」

「難しいデザインじゃないから大丈夫だけど、下絵はちょっとやりたい。」

「べニア板だけでいっか。」


いつでも安井は協力的で優しいなって思う。
それに比べて本当に京本はうるさいし、めんどくさい。
綺麗な顔に生まれてきて良かったねってその度に思ったりする。


「他は運んでもらおうぜ。
　ペンキとか重たいし。」

「京本腕折れそうなくらい細いもんね。」

「俺はか弱いからねー。」

「弓道部のエースがなに言ってんだか。」

「全国決まったんでしょ？」

「まーね。文武両道って俺のための言葉じゃない？」

「すごいどや顔。」

「お前は本当に俺の事かっこいいって言わねぇのな。」

「別段好みじゃないんですよ･･･すいませんね。」

「いやーこの清楚な顔でどぎついこというわ。」

「京本ってほんっと性格ひん曲がってるよね。」

「素直だけなの！
　思ったこと言ってるだけ。」


2人の会話が言い合いみたい鳴ると安井がめんどくさそうな顔をする。


「お前ら子供みたいな言い合いしてんなよな。」


こうやって、私たちを止めるのもいつものこと。

京本は学校でも人気のある方で好きな子も多い。
弓道部で弓を弾く姿は凛としていて本当にかっこいい。

1年の時に被写体になってもらった絵は県のコンクールで銀賞を取った。
でも、描いてる最中の京本は文句のオンパレード。

“疲れた”“もうやんねぇ”“今日もやんの？めんどくさ！”

とか言ってまったく頼りにならなかった京本。
それまで京本くんと呼んでいたけれど、その日から呼び捨てすることにした。

他愛のない話をしながら下駄箱で靴を履き替えていると名前を呼ばれた。


「みなみせんぱーい！」


ハッとして歩いてきた廊下を見ると樹くんがこちらに向かって走ってきた。

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