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駅から学校までの間にあるコンビニから朝練に行く安井と会う。
たまごサラダがはさんであるコッペパンをもぐもぐさせながら歩いてくる。
ちょうど食べ終えた頃、大きな正門が見えてきた。
いつもは誰も居ない正門に誰かが立ってた。
バスケットボールを持ったジャージ姿の男子生徒。
色からして1年生、それにしてもやんちゃそうだな。
そんなことを思いながら、横を通り過ぎようとしたらその子が私の前に立ちはだかった。
いつもと同じ朝だった、さっきまでは。
告白の後に流れるなんとも言えない静けさの中、話し出したのは彼だった。
「1年B組の田中樹っていいます。
樹木の樹って書いてじゅりって言います。」
「えっと…。」
「びっくりさせてごめんなさい!
伝えたかっただけなんで…失礼します!」
颯爽と私の前から去っていった、田中樹くん。
少し傷んだ茶色い髪の毛が光に反射してキラキラしていた。
最後、私の顔を見ながらクシャっと笑った顔がまぶしかった。
「からかってるのかな?」
「うーん、そんな風には見えなかったけどな。
「なんか…罰ゲームとか?」
「っぽくはなかったよな、どう考えても。
「そうだよね。」
「なんか…感情が完全に迷子だよな。」
「なんにも言えなかった。」
「今のなんだったんだろうな。」
「ねっ。」
隣に居合わせたクラスメイトの安井も不思議がるほど。
「とりあえず、俺は朝練行くわ。」
「うん、いってらっしゃい。」
「じゃあな。」
校庭に走っていく安井を見送り、体育館の横を通る。
バスケットボールが体育館の床に当たる音が聞こえた。
17年間の人生で初めてされた告白は、思い描いたものとは違っていた。
そもそも告白される人生を歩むなんて想像もついていない。
なんだかキツネにつままれたようなそんな気持ち。
いつも通り、授業を受けて部活をして。
帰りにもちょうど練習終わりの安井に会って。
今朝の彼のことを話すこともなく1日が終わる。
ご飯を食べて、お風呂に入って伸びてきた前髪を少し切る。
髪の毛を乾かして、勉強をしてベッドに入ったのは23時55分。
いつもと少しだけ変わった1日が終わる。
きっと明日起きたらいつもと同じ1日が始まる。
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初音(プロフ) - kikiさん» いえいえ!この作品の樹君がすごく好きで!これからも応援してます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - 初音さん» なんとお恥ずかしい・・・!rを打ってしまったことに気づいた時にはもう初音様がお読みになられて・・・早速読んで頂き誤字を教えてくださりありがとうございます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: efa8082a4b (このIDを非表示/違反報告)
初音(プロフ) - Mrsだと既婚者になってしまいますよ(苦笑) (2019年2月13日 23時) (レス) id: c0fa5c81b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiki | 作成日時:2019年2月13日 1時