：（！） ページ34
＿
｢…っやあ、ぁ…｣
｢は、｣
ふわふわして、どきどきして、たまにちかちかして。こたくんの動きについていけなくて、すでに気怠い体は力が上手く入らなくなっていた。
思わずこたくんの胸を押すけれど、それは何も意味をなさなくて、軽く汗を拭った彼は優しく笑った。まだまだ余裕だ、私なんてもう、訳が分からないのに。
私の上にいるこたくんの、大きな掌が優しく私の頭を撫でる。もう片方は私の顔の横に肘をついていて、もう逃げることなんてできない。しっかり目も合うし、少し意地悪そうな彼の、私にしか見せない男の人の表情に、胸がぎゅっとなった。
｢…あ、や…だ、｣
｢…何が、｣
｢じっ、と見ないで…っ｣
｢ええやん、｣
｢あ、っ…恥ずかし、っやだ、ぁ｣
｢…は、かわえ｣
｢う、ぁ……っんん｣
逃がしてほしい、だけど逃がさないで。
その気持ちをきっとこたくんは見抜いていて、また深くキスを落とされる。塞がれたまま、ぐっと衝動が加わって、思わず声が漏れてしまうけれど、それもまたこたくんに飲み込まれていった。
苦しくて優しくて、ぐちゃぐちゃになって、もう何も分からない。ただ、気持ちいいだけ。こたくんがだいすきで、しあわせで、あたたかいだけ。
｢ふ…っんぅ…や、｣
｢やだやだばっかり言うやん｣
｢だっ、て…っ｣
｢ああ、せやな…｣
｢こたく、｣
こたくんはにっと笑って、耳元で囁く。その言葉にぶわっと顔が赤くなるのを感じた。言い訳を探したくてもうまく言葉を選べない。ひゅっと息を吸うことだけで手一杯だ。
こたくんが軽く息を吐いた。少し、余裕がなさそうに見えて、それがなんだかうれしかった。この表情は私だけのもので、それがひどく愛おしい。思わず両手で頬を包む。
｢……さっき、の、仕返し…っ｣
｢…指、震えとるよ｣
｢ぁ…っだめ、っ、動かな、…っぅあ｣
｢仕返しする余裕、まだあったんや｣
｢や、…だ、め…っ！｣
包んでいたはずの両手を掴まれて、そのままこたくんの背中に回すよう促される。それがどういう意味だなんて、分かってしまうから。また強い波に飲まれて、思考を奪われてしまうんだって、分かってしまうから。少しのこわさと期待が入り交じって、目尻がじわっと濡れた。
爪立ててええから、そう囁く声は掠れていた。それがすごく男の人の声で、思わずぎゅっと目を瞑って抱きついた。目尻の涙を追うようにキスをされて、私は何も考えられなくなった。
＿fin
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←：
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 183人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
aoi(プロフ) - Ey3467さん» はじめまして＊こちらこそありがとうございます！とても励みになります＾＾ (2021年6月1日 12時) (
レス) id: 4b9a3afcbe (このIDを非表示/違反報告)
Ey3467(プロフ) - はじめまして！aoiさんのお話ほんとに大好きなので更新していただけてほんとに嬉しいです！ (2021年5月31日 12時) (レス) id: 8bada13383 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - よせさん» コメントありがたいです、うれしいです！ (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - り子さん» うれしいお言葉ありがとうございます＊(頂いたコメントですみません、り子さまのおはなし、私もだいすきです…！) (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みやさん» ありがとうございます、嬉しいです＊ (2019年8月4日 11時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：aoi | 作成日時：2019年4月2日 23時
