■Story.99 ページ49
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玲衣「どういうつもり、なの?」
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やっと手首は解放されたけれど、
その場を動くことはできなくて。
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玲衣の声は震えていた。
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裕翔「玲衣、何でそんなに俺のこと……」
玲衣「私だって、わかんないよ。」
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玲衣は少し声を荒げてそう言うと、
俺に抱き着いて来て。
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そして、またあのセリフを言った。
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玲衣「妹ちゃんと仲良くしないでよ。
私と付き合ってるのに……
本気で死んじゃうよ。」
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そう言われて、あの病院での出来事を思い出して。
今、目の前にいる彼女の命は俺にかかっているかと思うと……
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Aとの未来を考える以上に胸が苦しくなって、
まるで心臓を鷲掴みされているようだった。
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玲衣「私、死ぬの何て怖くないんだから。
裕翔が傍にいてくれないと…………」
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裕翔「…………分かったよ。ごめん。
これからなんでも言うこと聞くから……死ぬとか言わないで。」
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ぎゅっと彼女を抱き締めて、
今までの自分の行いを反省して。
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どちらも助ける、傷つけないなんて無理なことだと
思い知らされた瞬間だった。
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裕翔「約束するからさ………だから、死ぬな。」
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人の不幸の上に自分の幸せは築けない。
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玲衣が死んでしまったら…………
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俺は今、目の前にいる彼女の手を取り
教室を出て、学校を出た。
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自分の決断でこうしたのだけれど、
今もなお、胸が苦しくて仕方がなくて。
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死んじゃいたい。
俺の心の片隅にもそんな気持ちが芽生え始めていた。
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作者名:おんぷ♪ | 作成日時:2013年6月23日 5時