■Story.88 ページ38
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親には呆れるしかない。
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この前、喧嘩しないと言ったばかりなのに
家に帰るとまたしていて。
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今、俺の手にしがみついている小さな手の少女を
見離すことはできなかった。
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男として愛することは許されなくても、
兄として愛することは許されているはずだ。
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裕翔「どれがいい?奢ってあげる。」
あ「じゃぁ……ココアがいい。」
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裕翔「いつも変わんないね。」
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あ「だって、冒険して不味かったら嫌なんだもん。」
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だったら、やっぱり俺の隣にいないほうが正解。
このまま、上手いこと侑李を選んだ方がいい。
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俺との未来を望むのは冒険過ぎるから。
何も宝物を得られずに彷徨いつづけるかもしれない。
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あ「おいしい。」
裕翔「そっか、よかったじゃん。」
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あ「お兄ちゃんも飲む?」
裕翔「いいよ、一人で飲みな。」
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太陽は完全に隠れて、月が顔を出している時間。
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月光に照らされる横顔が可愛くて、
思わず手を伸ばしそうになる。
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だけど、自分の制服から微かにする玲衣の香水の匂いで
我に返って、伸ばした手を引っ込めた。
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触れてどうにかなるわけじゃない。
触れたって、結局……結ばれない。
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それに、玲衣についさっきまで触れていたくせに
Aに触れようとするなんて……
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あ「…………玲衣さんといたんだよね。
楽しかった?」
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下唇を噛みしめて、涙を堪える姿でさえ
愛しくて仕方がない俺は本当に重傷で。
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裕翔「…………そんな顔しないで。
俺、どうしていいか分からなくなるから。」
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作者名:おんぷ♪ | 作成日時:2013年6月23日 5時