■Story.79 ページ29
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夜ご飯を食べている時、俺とAの間に
会話は無くて、目が合っても俺から逸らした。
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風呂の順番を待つ間、明日の宿題を済ませて
くだらないメールをよこしてくる涼介の相手をする。
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あ「お兄ちゃん、お風呂いいよ。」
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裕翔「ん、分かった。」
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必要最低限の会話で済ませないと
ココロがどうにかなりそうで。
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着替えを持ってAの横を通り過ぎると
手首が突然にぎゅっと掴まれた。
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あ「お兄ちゃん。」
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裕翔と呼ばれていたのはつい最近のことなのに
すごく遠い昔に感じるのは俺だけなんだろうか。
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ドクン、ドクン、と静かに早まる鼓動に
熱くなる手首。
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あ「玲衣さんのこと好き、なの?」
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俺の手首を掴む力が少し強くなった。
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あ「私の傍にいてくれるって……」
裕翔「いるよ、お兄ちゃんとして。」
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あ「私は……そんなの望んでないもん。」
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ゆっくりと俺の手の甲に落ちた涙。
俺だって望んでない、そう言えたらどんなに楽か。
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裕翔「侑李といい感じなら
その幸せ、大切にした方がいいよ。」
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あ「何でそんなこと言うの…………」
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裕翔「そんなことしか言えないからだよ。
お兄ちゃんの俺はこう言うしかないんだよ。」
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作者名:おんぷ♪ | 作成日時:2013年6月23日 5時