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ー 二十数年前 ー
『うわ…あの人やばくない?』
『見ない方がいいって、行こ行こ…っ‼』
『臭そう』
『何したら、あんなボロボロでゴミ捨場に捨てられるんだろうな。』
『自業自得だろ、あんなもん。』
『ウケる』
仕事で、少しやらかした。
自身を蔑む耳障りな言葉など、この痛みに比べれば屁でも無い。
暫く休めば、じきに身体も動かせる様になる。
今は指一本すら動かす気力も起きず、五月蝿い戯言を拾う耳を塞ぐ事が出来ないのが残念だ。
この世界に生きる俺にとってはいつも通り。
痛くも痒くも無い。
『おじさん大丈夫?』
『…あ゛?』
『おじさん怪我してる。痛そう…』
『…失せろ、ガキが。』
『ガキじゃないよ、Aだもん。』
『んなもん知るか、早く失せろっていってんのがわからねぇのか。』
『おじさん、悪い人にやられたの?
困ってるの?』
『困ってねぇよ』
『困ったらね、Aのお父さんの所に電話したらね、もう大丈夫だよ!』
『だから困ってねぇよ…、お父さんの所?』
『1.1.0って押したらお父さんが悪い奴らやっつけてくれるからね!』
『…サツかよ。良いからさっさと消えろ‼ぶっ殺すぞ‼』
『……っ‼』
『…ちっ、通り雨か。……ん?
あのガキ、どの面下げて戻ってきやがった…‼』
少女は、無言でそそくさと男の元に走り寄ると男の側に、広げた傘を置いた。
そして男の上にハンカチに包まれた何かを置き、降りしきる雨の中、何も言わずに脱兎の如く走り去っていった。
「……。」
かろうじて男が広げたハンカチの中には、大層な役職が書かれた一枚の名刺と、「たからもの」と書かれた、随分ファンシーな柄ばかりが入った絆創膏の箱。
名刺の裏に拙い字で何か書かれていた。
【おこられるから、めいしのことはおとうさんにはないしょね!
こまったときは、おとうさんがわるいやつをやっつけてくれるよ!】
「…随分と、見る目のねぇガキだな…」
ー現在ー
「ただの気まぐれだ。」
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虎鉄(プロフ) - まみこさん» まみこ様、私こそ深夜にすみません!こちらにまで涙。一気読み+コメントする時間まで割いて下さり本当に有難うございます!松田氏なりに降谷氏とは違う道を進むのでお付き合い下されば嬉しいです。大切に書いた話なのでそう言って頂けて感無量です。 (2022年7月24日 0時) (レス) id: 4e898d55ea (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 応援してます!!本当にこの作品は神です!! (2022年7月16日 1時) (レス) id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - こんばんは!!真夜中にすみません💦一気読みしました!マジで感動しました!!あー、夢主ちゃん良かったね!!と、保護者のような気持ちで読んでましたねw松田さんのほうも読んでます、頑張ってくださいね!! (2022年7月16日 1時) (レス) id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
虎鉄(消えた捜査官松田ver作成中)(プロフ) - ひゆめさん» ひゆめ様、一気読みのお時間頂戴しまして……!かつコメントまで下さり本当に有難う御座います。クロサギ懐かしいですよね(^^)当時は全く意味分からんまま見てましたが笑。読んで下さってありがとうございました(^^)!2と合わせての返信で失礼します。 (2022年6月12日 10時) (レス) id: 4e898d55ea (このIDを非表示/違反報告)
ひゆめ(プロフ) - 同じく一気読みしました!!クロサギ懐かしいと思いながら進めていたら凄く惹き込まれました。とても面白かったです。 (2022年6月12日 0時) (レス) @page50 id: 141a54d8d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虎鉄 | 作成日時:2018年6月2日 0時