華麗なる奇術師たち 2【怪盗キッド】

97:焦る気持ち ページ48

(あれで焦ったんだよなあ
…いろんな意味で)


俺がそんなことをおもいだしているとはつゆ知らず
本人は勉強に集中しているようだった

と思ったらふと顔をあげて呟く

「……そろそろ私も復帰しなきゃな…」


「ん？」


「学校も仕事もねー」



「……おいおい、そろそろ復帰っていったって
まだそこまで日にち経ってねーぞ？焦るなって」



「そんなことないよ

今は恵まれてていいけど

時が経ったらすぐみんな忘れちゃうから……

覚えててくれる間に復帰しなきゃ」


「そんなんだとまた倒れちまうんじゃねーのか？

大丈夫だって……オメーはそんなに簡単に忘れられるようなやつじゃねーからよ」


「だって……」


「それよりまたファンに心配かけるほうが良くねーんじゃないのか？」


「……」


どうやらさっきからペンを止めてたまに考えていたのは
問題のことではなく、RUIについてのことだったらしい


正直、もし復帰したら今ほど
Aと居られる時間は減るからってのもある
また多忙な日々に戻るってことだから、こんな悠長に勉強会なんかできないだろう



(……まぁ、本格的に復帰したら
新入りアシスタントですなんて出演して側にいるのも悪くないかもな


……なんて俺なに考えてんだ///
それこそ白馬に見られたら即俺だってバレるだろうが…

でもまRUIは男なんだしアシスタントしてても何の問題もない…
ってか何気に一緒にいたいって普通に思ってたけど、ものすごく恥……)

「ち、ちょっとパソコン借りるな？」


「ん、どうぞ」




(こういうときは他ごとやって気をまぎらわすに限る……)
俺は宛のない検索欄に適当な言葉をとりあえず叩き込んだ

『恥ずかしい』

「どしたの？」

(！！？)
「へ？あ、なんもねぇよ？」


「ん？そう？」

「おぅ」


(……びっくりした、見られたかと思った
挙動不審だったか？とりあえず落ち着かねーとな

怪盗キッドっと…)


「何、自分調べてるの？
ちょっと面白い笑」


「いや、なんか他の人に何言われてるのかなっておもって」

「あ、それ分かる
でもすごく気になるけどなんかこわくて結局みないな笑」

「調べてみよーか？」



「いーよ、みない」

「ケケケ笑 そんなあせらなくてあせらなくていいだろ笑」

ふと何気なくニュース項目をみたらコラムがあって、
コラムニストがコメントした記事が出てきた

【マジシャンRUI、突然の休業に人気の訳】

(ああ、相変わらずキッドとライバルって思われているんだ)

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