華麗なる奇術師たち 2【怪盗キッド】

92:一晩経って ページ43

彼女に面と向かって話すのが久しぶりな感覚だ
半日会ってないだけなのに

(いつもより落ち着きがなくて
戸惑いで瞳が揺れてる
まあ昨日の今日だもんな……)



一晩経った今日
改めて昨日の強引なことをした実感が沸いた
そのくせになんの弁解もしないまま
彼女を家に返した

結局なにも言えなかったという後悔で
学校なんかほぼ昨日のことしか
考えてなかった気がする

彼女の姿が頭から離れてくれなかった




そして今日、なぜか白馬が休みだったことがまだ良かった

昨日のことについて問われたらめんどくさいし、なんとなく顔も見たくない

とはいえアイツがなぜ休みかが気になったから調べてみたら、ニュースには昨日のことについて、白馬が宝石を奪い返したということで取り上げられていた。
そのあと、近くの百貨店で盗難があったらしいその事件の解決に貢献すべく、今日も活動を続けているとかいう話だ

アイツのことも含め、変に彼女に心配を増やしてはいけないと思うのだが、事の次第が悪化する前に、しっかりこれからどうするべきかを話し合わないといけない

でも俺は彼女になにか問われたらなんて返事するんだ…


……




「あ、あの……昨日は……そのー…

ごめんね？」


言いにくそうに彼女が言う



(やっぱり昨日のこと、気にしてんのか…
というよりは俺がまだ怒ってるんだと思ってるのか？)




「何がだよ？」


気を遣われてるのが少し面白くなくて
素っ気なくそう言ってみた

するとビクッと肩を震わせたのが見えた



相当気にしているみたいだ
悪いことをしたのだと、そう思っているのだろうか


あとに後悔が残る
思ってたより深刻に彼女が考えていたとしたら
どうすればいいのか分からない


「…」


ただなにも言えなくなって隣の席に座った





……

A side




うわぁ……怒ってるよー



なんか今までかつてないほどに
やっぱり昨日の怒ってるかも



結局夜遅くなったから昨日は流してくれただけなんだろうか


どうしよう……



どうすればいい？
昨日、名前で呼べって言われたから
それも直さないと



だけどなんだろう
は、……

恥ずかしいんだよね……



それに、


「あの……さ、今日お疲れさま、
昨日夜遅くて大変だったのに、今日の学校眠たくなかった？……私なんか一人で休んでて申し訳なくて、適当に調べてたんだけど…


「A、何で俺のこと呼んでくれねーんだよ」



え、あの……それはその…」

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