華麗なる奇術師たち 2【怪盗キッド】

87:御詫びは…… ページ38

「あー、もう本当、わかんねーんかなぁ…


アイツっていうのは白馬だよ
俺に連れ去られる時、アイツもマジ顔だったし

その前だって…




……オメーさぁ、もう少し自覚しろよ…」



「なっ……」
(自覚って……な、何をっ……焦)




「じゃなきゃ俺が狂っちまう」

(ぇ、わ、私はもう狂っちゃってるよー)

何をどう自覚すればいいのか全く掴められず、彼はなんだか勝手に話をして、進んでしまっている

いつか自分の意図せぬことを考えて勝手に納得してしまうかもしれないと思って、焦っているのだが…

結局彼は何をとは言わなかった
何かしらの含みがあることはわかるが
その先がつかめない


黒羽君が大きく深呼吸した
でも若干それが大きな溜め息にもきこえる



「……黒羽君？」


「A、オメー俺のこと快斗って呼べよ」



「え！？なに急に」


「いーから」




「快斗………君」



「なんだよ、なんであとにつけんだよ…
そういうのもう要らねーし…


ったく、今日は許すけど次はないからな」



「な、だからなんでいきなり」



「なんでって…


おめー、なんもわかってなさそうだし」


「はぁ」


「だから、俺を焦らせた思いさせた御詫び


な？」



「え？御詫びって…

なんの？？…
え？
まって私なにかしちゃった？」



言い返した私に
彼はただ微笑んでいただけだった



……

あれから私達は無事帰路についた

彼は私を家に送り、
そっともう一度ハグをすると
そのまま家に帰っていった



終始私は冷静になれないくらいに
胸がいっぱいだった
彼の行動のひとつひとつに



……


もう私が家に帰ったときには、夜中になっていた

やけに目がさえてしまって、なんとなく外を眺めたい気分だったけど、風邪を引いても困るから、部屋を真っ暗にしてカーテンを開けた

月の光でうっすらと明るいのをぼーっと見ながら耽ってみた

思った以上に私と彼の間に温度差があったのは分かったけれど、それより彼に心配してもらっているということでもあった

(そういえば彼はいつも私のことを心配してくれる…私がRUIだとわかって状況を知ってからはとくに

なんでここまでしてくれるんだろう、
やっばり似たような境遇だからなのかな)

少なくとも私はここ数日彼がそばにいてくれるから、あの日鈴木財閥のパーティで会わなかったり、体調不良で助けてもらわなかったら…

今頃どうしてたのだろう

そう考えたら急に寂しくなってきた

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