華麗なる奇術師たち 2【怪盗キッド】

84:回避？ ページ35

透き通って光ってる
(キレイだな…)

思っているよりも透けていて
あんなライトなんか要らないと思わせるような
宝石の輝きをしている

その輝きに見せられて操られたかのように
手が引きよせられた


しかし…………



もう少しで触れそうな時、彼が身動ぎした


(ぇ？)
ふと我に返ったような気がした



「僕としたことが
君が此処に来ることを知っていながら
君に先手をとられるなんてね」



(あ、白馬君だ
知らない間にもうこんなところにいたんだ)




すぐ近くまで来ていた



サッと彼が私を白馬君からマントで隠す
でも目敏い探偵は私に気付いたようで



「彼女をどうするつもりですか」



「………少し空中ドライブでも楽しもうかと思いましてね………」

(あれ、いつもと声のトーンが違う気がする)

「まさか君が…」

彼はハングライダーを開き
白馬君にみなまで言わせなかった


白馬君もKIDがもう話をする気はなく
そこから離れると気づき
走って近付いてきた

彼はトランプ銃を撃って足止めさせ
彼は私を抱くと


宝石を投げて惑わしている間に
二人で飛び立った

(ひぇぇ…)

初めて彼のハングライダーを知る私には
こわくて彼にしがみついた

正直思っているよりも強く風を受けて

二人だからちゃんと捕まってないと
そう実感してないと落ちそうで不安で

どれくらい離れたかなとおもって
ふとみると、少し小さくなった探偵がみえた

「そんなびびるなって…」

あまりにガッチリと握っていたからか
彼にボソッという

「ぜってー落ちるわけないだろ
落としやしねーよ」

なぜだかふて腐れたような感じだった

(別に信用してない訳じゃないんだけれどな苦笑)



さっき言った通りに少し空中ドライブした後

建物の上に降り立つ
もはや何処かは分からないけど


そして彼が私を離し
やっと私は解放される

彼はハンググライダーをしまうために
白のジャケットを着直す


(いったいさっきからなんだろう？
なんか落ち着かないな)

適度に場所から離れたら
ここからはハンググライダーを使わず
車に迎えに来てもらう予定のはずだ

寒い風も今は丁度いい

(私は気を落ち着かせるためにだけれど
丁度いいって思うってことはそれだけ
火照ってるってことだよね苦笑)



自分が落ち着けるよう、そっと息を吐いたら
隣で溜め息が聞こえて思わず彼をみてしまった


彼は少し自嘲気味にはにかむと
私にそっぽを向く

「………わりぃ、
かなり焦った」

(ぇ？)

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