30あまり9つめ。 ページ39
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心操「俺はこんな"個性"のおかげでスタートから遅れちまったよ、恵まれた人間にはわかんないだろ」
心操の必死さに、Aは思わず一歩下がる。僅かに、テディベアを抱く腕に力が籠った。
心操「誂え向きの"個性"に生まれて、望む場所に行けるヤツらにはよ！！」
"あなたの個性は特別なの。だから、ヒーローになんてならないで"
靴が、後ろに下がる。そのまま試合は体術へと変わっていく。心操の話に、緑谷が口を開くことは無かった。
そうして、白線を超えて、心操は倒れていた。
ミッド「心操くん場外！！緑谷くん、二回戦進出！！」
プレゼント・マイクの声で会場に緑谷の勝利が告げられる。Aは解かれた髪をふわりと揺らして、観客席を飛び出し、控え室目掛けて駆け出した。
耳郎「A！？」
八百万「Aさん！？」
二人に呼び止められるが、まったく何も耳に入らないままAはやはり走る。
『っ、し、んそ、うひとし、くんっ』
目の前にいるのは、先程負けた心操だった。心操は、疲れた顔をしていたが、同時に、何かを決めた顔をしていた。
心操「……ああ、あん時の。ヒーロー科の、加楽多だったっけ、」
Aは迷う。声をかけた理由がわからなくなった。ただ無性に、追いかけただけ。
『……かっこよかったよとっても』
心操「……そりゃどうも」
心操は唐突に紡がれたその言葉に少しだけ笑ってやる。なんだよそれ、変なやつ。
黄金色の髪を風に任せて揺らしながら、妙に子供じみたAを前に、心操はやはり、少しだけ笑ってみせた。
二人はそれから何も話すことは無かったが、何故だか酷く満足したAは、観客席に戻った。
耳郎「あ、A帰ってきたじゃん」
八百万「どうかなさいました？」
『なんでもないよ』
いつも通りに、肩を揺らして笑ってみせた。次に会ったときは連絡先を交換しよう、と考えながら、Aは次に始まった試合に目を向ける。
マイク「優秀！！優秀なのに拭いきれぬその地味さは何だ！ヒーロー科、瀬呂範太！！
2位・1位と強すぎるよ君！同じくヒーロー科、轟焦凍！！
START！」
『はんたくんと、えと、しょうと、くんだ』
名前を反芻しながら、Aは相性悪そうだなあ、と首を傾げた。
その予想は的中し、息付く暇なく会場が凍りつき、どんまいコールが響き、轟が勝ち上がった。
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ちゅる(プロフ) - すごく面白くて初めて感想描いてみました、、いままで読んできた小説の中で一番設定が好きです！ (11月11日 0時) (
レス) id: aed173f286 (このIDを非表示/違反報告)
えと(プロフ) - 応援してます！ (2023年2月21日 2時) (レス) id: ee7dad60ab (このIDを非表示/違反報告)
⚪︎△ - 家での様子見てみたいです！おうえんしてます！！ (2022年12月7日 20時) (レス) id: 5a19af4b70 (このIDを非表示/違反報告)
ここ - この作品一番好きです！ 応援してます！！ (2022年12月6日 22時) (レス) @page36 id: 9bac72a933 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 可愛い 好きすぎます 頑張ってください!! (2022年9月20日 17時) (レス) @page29 id: badda1f22b (このIDを非表示/違反報告)
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