賢プロ所属の谷山夫婦【谷山紀章】

8日目 ページ22

【Kishou‐side】



『ざまにはらんたつ…!!!!』


小さな車内で方言混じりに怒りを爆発させる司ちゃん
此処らの方言は良く知らないけど声色だとか
昨日あれ程嫌がっていた”本家”への挨拶、その帰りだとかを考えると
まぁ確実に「すげぇ腹立つ」とかそう言ったニュアンスだろう。腹が立つ的に聞こえなくもないし。

お義父さんから借りた車だというのにハンドルをバシバシ叩いたりしてるあたり、本当に怒り心頭って感じだ。


まぁ確かに、昨日の司ちゃんの態度も納得の
中々クるものがある空間ではあった。

なんというのか、あの値踏みというのか品定めされているような視線は脳裏から離れないし
俺と司ちゃんの年齢差を聞いて、あからさまに残念がるというかそういう態度はあぁも出されちゃ自信が無くなってくる

まぁ、要は考え方とか捉え方の違いなのだろうけど
申し訳ないが、叶うなら二度と行きたくない、が本音だ。









「よりにもよって…」





「あの子ならもっといい人がおるやろうに…」





「まだ20代やろうに…」





「……。」


意識したくなくとも脳裏にこびりついても離れないのが言葉ってやつで。
ほんとうに、言霊ってやつはあるんだろうなぁとどこかぼんやり頭の片隅に浮かぶ。

”報告するだけして帰ればいい”と軽く考えてた俺の想定は甘すぎたのは大きいだろうが
彼女があんなに嫌がってたし、その理由を聞いてから判断した方が良かったなとか、今更考えたって仕方の無いことが延々と浮かんで仕方が無い。







「そりゃたまるか17も違うんかい」


(痛いとこ、突かれたよなぁ…)

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