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『あーもう迎え来てるって』
「あらま」
彼女が凝視してる端末を覗き込めば確かに
”オトン”と表記された相手とのトーク画面が目に入る。
『もうすぐつくで』
「おう、駅前いるわ」
『あいよ』
と、必要最低限の淡泊な文がなんとも彼女らしく
同じような文面による返信があ、これは親子と感じざるをえない。
人気の無い駅を出れば、肌寒い風が肌を撫でて容赦なく体温を奪う。ぶるりと身を震わせる司ちゃんにくっつけば「ありがとう」とふにゃりとした笑顔を見せる。
俺の嫁かわよ
「おい息子ーオトンはこっちやぞー」
『だぁれが息子やねん』
「お前」
恐らく俺達…というか彼女に投げ掛けられた言葉、その声に即座に反応した彼女はさっきまでの可愛らしい笑顔から一点
スンッと真顔になった。切り替えがすごい。
彼女の視線をなぞるとそこには照明に照らされて辛うじて分かる淡いピンクの車体の軽自動車が。
その相性はある意味最高なガタイの良い長身の男性が一人こっちだぞと手招きする。
『はい、こちらが電話口で紹介した谷山紀章さんです。』
「いや、知ってるけど。
お久しぶりです、その節は娘が大変お世話になりました。」
「いえ、そんな大それたことは何も…
此方こそ、あの大変な時にあのような形で報告してしまい申し訳ありませんでした。」
「謝るようなことじゃないよ
あの様子を見れたからこそ君に任せられたのさ」
不束な娘ですがどうぞよろしくお願いします、と頭を下げるお義父さん。それにつられて急いで頭を下げる俺。
少しして、頭を上げてみればお義父さんは柔らかい表情で違う場所に視線を送っていた。それに習ってその方向を向けば、つまらなそうに口をとがらしている司ちゃんの姿。
俺とお義父さんからの視線に気付いたらしい彼女は『あ、終わりましたかねー?』と少し拗ねてる様子。
徐に歩き出した彼が彼女の頭にぽんっと手を乗せて撫で回す
「___」
『!』
急に撫で回されて『なんや』ともろ顔に出ていた彼女が驚いたように目を見開いて
先に車の方へと向かうお義父さんの背中に向けてピースと共に
『でっしょー!』
と嬉しそうな声を上げた。
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愛夢(プロフ) - 紀章さん好きには堪らない作品ありがとうございます!!更新頑張ってください! (2023年2月6日 18時) (レス) id: 1fb4caaf97 (このIDを非表示/違反報告)
最小幹部 - Yuiさん» Yuiさん、返信大変遅くなってしまい申し訳ありません。コメントありがとうございます!マイペースに更新しているのでまた覗いて頂ければ幸いです(*^^*) (2022年2月6日 20時) (レス) id: 1b7127d9e3 (このIDを非表示/違反報告)
Yui(プロフ) - 紀章さんファンなんで小説を作成してくれてすごい嬉しいです!続きを楽しみにしてます! (2022年1月16日 13時) (レス) @page5 id: 3c14c8fbd4 (このIDを非表示/違反報告)
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