[d!]我々と4年目の第1歩を。[建国記念] (ページ8)

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＊ページ8

『げ、』
ut「あ、」

鉢合わせた。

ut「どうしたん？買い物？」
『うん、ちょっとね』
ut「背中に隠しとるのバレバレやで」
『ブーメラン頭に突き刺さってるけど大丈夫？』

こうなってしまったら仕方がない。背中に隠していた青いカーネーションの花束を渡す。

ut「3年間ありがとうな」
『カーネーションの意味知ってて贈ってる？』
ut「え、真実の愛ちゃうん？」
『愛の拒絶、なんてのもあるんだけどなぁ』

初耳なんやけどなにそれ。えー、俺めっちゃダサいやん。なんなら薔薇贈った方が良かったやん。

『冗談、カーネーション好きだから嬉しい。ありがとう』
ut「もー、ほんまヒヤッとするわ」
『ごめんって、お詫びに私も鬱にあげるから』

そう言って差し出されたデルフィニウムの小さめな花束。

『毎年貰ってばっかだから、何か返そうと思ったんだけどまさか被るとはね』
ut「いやいや、全然ええよ」

お互いに花束を交換する。あぁ、やっぱりカーネーションがよく似合う。

そのまま空いた片手を繋いで彼女の家まで歩く。西日が眩しい日だった。

『鬱はいつもクズだの女癖が悪いだの言われて』
ut「え、ちょっと待ってなんで急に貶されてんの？」
『挙げ句の果てにはSAN値まで削れるだの言われててさ』
ut「俺今泣きそうなんだけど」

『でもね、私にとっては大切な人だし、鬱といると幸せになれるし、本当は真面目な人ってことも知ってる』
『だからその花にしたの。あなたは幸福を振りまいてくれるから』

思わず足を止めてしまった。小さな花束が一層愛おしく感じる。

ut「やっぱ泣きそう」
『え、えぇ？なんでよ』
ut「ほんまにAちゃんに会えて良かったぁ、」
『ちょっと、ここ道なんだけど！』

人目につくとか恥ずかしいとかそういうのが全部吹っ飛んで、俺は道端でAちゃんに抱きついた。

戸惑いながらも背中に手を回したその手が暖かくてこのまま抱きついていたかった。

『ちょっと、鬱、ここ近所だから』
ut「あ、せやな、すまん」
『馬鹿だなぁ、家に帰ったらいくらでも出来るでしょ』
ut「え、それって」
『多分鬱が考えてる90%くらいのことはさせないよ』
ut「ええやん！ちょっとだけやから！」
『それアウト』

ふざけて、笑って。
このまま4年目もその笑顔で隣に居てくれたら。それだけで充分やな。

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青いカーネーション：真実の愛
デルフィニウム：あなたは幸福を振りまく