天国 ページ6
?side
『起きて。起きて…。』
キーンと耳鳴りがする中で、誰かの起こす声。
な、何…?
薄目で辺りを確認する。
何にもなくって、ただただ…真っ白な世界がどこまでも続いている。
『やっと、起きた。』
ムクッと起き上がったと同時に、声が聞こえた。
あの、起こす声と同じ。
その声はこっちへ歩みを進めて、そっとしゃがみこんだ。
逆光で顔はよく分かんなかったけど、微笑んだのは分かった。
『ここ、どこと思う?』
ここ…?う〜ん…天国じゃないかな?
『フフ、正解。』
やった。ってことは、やっぱり死んじゃったんだ。
『うん、そうだね。』
何でこの人は思ってることをしゃべらなくても分かってくれるんだろう。
不思議に思いながら、キョロキョロと見回す。
想像してた天国と違って、何にもないからちょっと拍子抜けする。
ホントに何にもないね…。
『そうだね。僕も可愛いミツバチとか飛んでて、お花畑の中にいるって思ってた。』
目の前の人はクスッと笑って立ち上がった。
『僕はもう何年も前に、魔界の人に殺された。もうじき、ここから消えなくちゃならない。』
え…、そうなんだ。
殺されたという一言を聞いて、押し黙った。
消えたら…どこ行くんだろう…。
そんな事も考えた。
すると、続いていた沈黙を断ち切るように彼は話し出した。
『君は?どうしてここに?』
え…と、友達を助けようと思ったんだけど…引き換えに命を取られちゃった。
俯いてると、なんだか情けなくなる。
『…そっか。』
彼はそれ以上は何も聞かずに、ただその一言を言った。
…皆は、大丈夫だろうか。
死んじゃった身で皆の事を心配するのはどうかしてるけど、ふと思った。
皆のためにって思ってケオティアロに命預けたけど…結局のところ倒せてないんだから、意味がなかったんじゃないかって思っちゃう。
皆だって…何で死んじゃったんだって話だよね。
ハァッとため息をついた時
『こんなトコにいていいの?』
え?
彼がそう聞いてきた。
『ここにいていいの?』
もう一度聞いてくる。
『ここにいて、皆を見てるだけでいいの?』
…したくても何にも出来ないんだもん。死んじゃったんだから。
そんな思いもあれば…違う思いが沸き上がってくる。
見てるだけ?
そんなの…。嫌に決まってんじゃん。
だけど、何も出来ないんだから。
無理なんだよ。
6人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カメレオン(プロフ) - 莉央さん» 久しぶり!!!すぎて一瞬時が止まったよ😆元気だった!? (2022年4月26日 6時) (レス) id: 7a4cbd292a (このIDを非表示/違反報告)
莉央 - お久しぶり!!!莉央だよ!!!!! (2022年4月25日 12時) (レス) id: 045daae5eb (このIDを非表示/違反報告)
ケイ - 続編行きまーすっ!応援、ありがとーございまーすっ!頑張ります! (2020年2月24日 1時) (レス) id: a3939203d3 (このIDを非表示/違反報告)
ケイ - 莉央さん» え―っ!めっちゃ残念!せっかく友達になれたのに…。でも、これからも頑張ってね!ありがとう! (2020年2月23日 15時) (レス) id: a3939203d3 (このIDを非表示/違反報告)
莉央 - ケイ!わたし占ツク辞める!!ごめんね!理由はここで話すと長いからアイリに聞いて!! (2020年2月22日 14時) (レス) id: 667a7e2a00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ケイ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/snow17111/
作成日時:2019年9月16日 18時