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アリスside
ア「……ユウ?」
呼ぶと、微笑んだままユウらしくない小さな声で呟く。
ユ「俺には出来ない事でも、チトセには出来るんだな。」
ア「えっ…。」
その言葉を聞いた瞬間、寒気が襲う。
何、言って…。
ぎゅうぅとホウキをきつく握りしめて、口を開いた。
ア「ど、いう…こと?…ユウ。」
震える口が、伝えたい言葉を言わせてくれない。
何故、震えるのかって?
ユウに私の気持ちがちゃんと伝わってないからに決まっている。
ユ「俺より…チトセみたいにしっかりしてて、どんな時も一番に駆けつけてくれて…そんな奴の方がいいもんなぁ。」
そう言ってアハハッと笑う。
その笑い声も何か、無理してるみたいで…。
でも、そんな事よりも。
ア「何で…そんな事…言う、の。」
誰が、しっかりしてる方がいいなんて言った?
誰が、一番に駆けつけてくれる方がいいなんて言った?
そんな事、誰も言ってない。
『俺より』って何?
『チトセみたいに』ってどういう事?
私は別にそんな事思ってない。
ア「…ユウは、ユウでしょ。チトセ君とは何にも関係ない。」
すると、さっきまであんなに笑ってたはずなのに、急に真剣な顔をして私を見てきた。
ユ「お前こそ何言ってんの。チトセの事、好きなくせに。…まぁ、関係ないよなぁ。俺はお前の幼なじみ、だもんな。」
ユウにしては珍しい、強くて何も言い返せない言い方。
こんなの、ユウじゃない。
そう考えたら、目の前が急に涙で滲んで視界がぼやけてきた。
『チトセのこと、すきなくせに。』
違う。
違うよ。
ア「私は…っチトセ君じゃな…いしっ…。」
ユ「嘘。どう見ても今までの反応からして、チトセだろ。分かりやすすぎるんだよ、お前。」
吐き捨てるようなユウの言い方に、私の目からついに涙が零れた。
どうしちゃったの?
何でそんな冷たくなったの?
今までならもっと、私の大好きな笑顔で笑ってくれるのに。
『大好きな』笑顔で…。
ギュッと下唇を噛んで、涙を拭きとる。
それでも、涙で視界が滲むのは…ユウのせい。
もう一度拭い取り、パッと顔を上げる。
ア「…ユウ。聞いて。」
肩の力を抜いて、少し息を吸い込む。
ア「…私、チトセ君の事、好きだったよ。とっても。」
そう、好きだった。
でも。
今は、違う。
ただ『一人』しか私の視界には入っていない。
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カメレオン(プロフ) - 莉央さん» 久しぶり!!!すぎて一瞬時が止まったよ😆元気だった!? (2022年4月26日 6時) (レス) id: 7a4cbd292a (このIDを非表示/違反報告)
莉央 - お久しぶり!!!莉央だよ!!!!! (2022年4月25日 12時) (レス) id: 045daae5eb (このIDを非表示/違反報告)
ケイ - 続編行きまーすっ!応援、ありがとーございまーすっ!頑張ります! (2020年2月24日 1時) (レス) id: a3939203d3 (このIDを非表示/違反報告)
ケイ - 莉央さん» え―っ!めっちゃ残念!せっかく友達になれたのに…。でも、これからも頑張ってね!ありがとう! (2020年2月23日 15時) (レス) id: a3939203d3 (このIDを非表示/違反報告)
莉央 - ケイ!わたし占ツク辞める!!ごめんね!理由はここで話すと長いからアイリに聞いて!! (2020年2月22日 14時) (レス) id: 667a7e2a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ケイ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/snow17111/
作成日時:2019年9月16日 18時