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フウカside

 …そんな時でも。

 ふと感じた右手の温かい感触。

 ゆっくり頭を動かして、隣を見た。

 「――――前、見ろ。」

 ヤケに落ち着いた声。

 こんな中でよく冷静になれるね、と言ってやりたい。

フ「ま、え…なんて、見れない――――!」

 小さくそう言うと、それに呼応して風と火が一段と強くなった。

 それでも、右手の感触は消えず…それどころかさっきの何倍も強い。

 「―――お前もこうしてくれたこと、あったろ。」

 ――――こんな事…したことあったっけ…。

 周りを風と火が狂うように踊る中―――少し考えてみる。

 「俺が、いるから―――」

 次第に肩の力がスッと抜ける。

 そのせいか、風と火の威力も少し弱まる。

 でも、ちゃんと強く、大きく魔力は小さくなってなんかない。

 …コントロールが悪かっただけ。

 思わずフッと噴き出す。

 ―――魔法には人の性格が現れるって言う。

 まさにその通り。

 ガサツで、ガタガタで、つまずいて。

 それでも。

 キラキラしてて、飾り立てて、中身が空っぽのつまんないプレゼントより。









 ボロボロで、ぐちゃぐちゃな外見で、それでも中身がぎっしりしてた方が、ずーっと…









 あたしらしい。









フ「――――いろんなこと、思い出した。」

 大切なこと、忘れちゃダメなこと。

 なにより。

 こうして一人じゃないって実感できること。

フ「ありがとう。」

 隣を見て笑いかければ、同じように笑い返してくれるチトセ。


 思えば。

 どんな時も君がいたよね。

 そのたびに助けられてきて。

 あたしが助けなきゃって思ってたけど。

 …そうじゃない。

 だってそう言う事って、自然とできるものだから。

 『助けよう』って思って出来ることじゃないから。


フ「やろう…あたしたちなら、出来るよ。」

チ「当たり前だろ。それ以外ねぇだろ。」

 いつもの会話にちょっとホッとする。

 そして、あたしもチトセも一気に魔力を出した。









 「『今こそ、解き放て―――――――――』っ!」









 「『我に力を貸したまえ――――――――』っ」









 「よくやったね」









 そんな声が遠くで聞こえた気がした。

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設定タグ:らくだい魔女 , フウカ , ケイ   
作品ジャンル:ファンタジー
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カメレオン(プロフ) - 莉央さん» 久しぶり!!!すぎて一瞬時が止まったよ😆元気だった!? (2022年4月26日 6時) (レス) id: 7a4cbd292a (このIDを非表示/違反報告)
莉央 - お久しぶり!!!莉央だよ!!!!! (2022年4月25日 12時) (レス) id: 045daae5eb (このIDを非表示/違反報告)
ケイ - 続編行きまーすっ!応援、ありがとーございまーすっ!頑張ります! (2020年2月24日 1時) (レス) id: a3939203d3 (このIDを非表示/違反報告)
ケイ - 莉央さん» え―っ!めっちゃ残念!せっかく友達になれたのに…。でも、これからも頑張ってね!ありがとう! (2020年2月23日 15時) (レス) id: a3939203d3 (このIDを非表示/違反報告)
莉央 - ケイ!わたし占ツク辞める!!ごめんね!理由はここで話すと長いからアイリに聞いて!! (2020年2月22日 14時) (レス) id: 667a7e2a00 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ケイ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/snow17111/  
作成日時:2019年9月16日 18時

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