らくだい魔女と幼なじみの約束 pert4

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フウカside

　タン、タン、タン…

フ「…チトセはチトセだよ。どんなに狂っておかしくなっても。」

　タン、タン、タン…

フ「あたしが知ってるチトセは、貴方しかいない。」

　タン、タン…

フ「あたしは、チトセに魔法なんて、使えない。」

　タン…

　足の歩調を止めて、チトセの数歩手前で止まる。

　相変わらずの無表情。色のない瞳。

　…おかしいなぁ。

　いつもならチトセがあたしを止めて、慰めて、助けてくれるのに。

　今じゃ、立場が逆だね。

フ「…あたし達ってなんか、離れることって出来ない、みたい。」

　そう笑ってみるけど、上手く笑えてるかな？

　…ま、いっか。

　どーせチトセは無感情だし。

　それでもいい。

フ「……笑って？チトセにそんな無表情似合わない。」

　笑って。怒って。泣いて。

　あたしはチトセの表情が見たい。




フ「そんな無表情無感情、チトセらしくない…。」



　…いつの間にか溜まっていた涙が耐えきれなくなってポロッと落ちる。


　一瞬、チトセの瞳が揺れる。



フ「いつもみたいにあたしを罵ってよ…じゃないとあたしの気が済まないじゃん。」



　チトセが一歩近づく。


　それに気づかなくて、片手の甲で目を隠す。


　思わず、泣き声が漏れる。


　もう、無理なのかなって思う自分がいる。


　そしたら、チトセの手があたしの手を掴んで退ける。


　驚いて、涙も引っ込んでしまう。


　次の瞬間、自分の目が大きく見開かれたのが分かる。


　ふ、と微笑む表情。色のある深い群青の瞳。


　今度こそ、顔が歪んで、鼻がツンとして、涙が視界を邪魔する。


チ「…何、泣いてんだよ。」


　いつもの声が聞こえて、耐えきれなくなったあたしはチトセに抱きつく。


　バカ。アホ。悪趣味野郎。マザコン。


　悪口は出てきても、込み上げる感情が邪魔して何にも言えない。


　一瞬戸惑うチトセだけど、そのままポンとあたしの頭を撫でる。


　その普段見せない優しさに、また涙が出る。


　…やっと、帰ってきたね。



フ「…遅い、よぉ…、待ってたんだからぁ…。」

　出てきた言葉は素直じゃない言葉。

チ「…ゴメン…悪かった、ホント。」

　耳元でそう聞こえて、涙が止まらなかった。


チ「ありがとう。」


　一言そう聞こえて。

　おかえりって伝えようとしたら。

　―――――ガクッ

　フッと力が抜けて。膝に力が入らなくなって。



　ボーっとして意識が遠くなって。


　…気を失った。

あえて『17』にした理由。。→←フウカvsチトセ

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