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「なんか…、今夜は眠れないかも。」
珍しく今夜の裕太くんはテンションが高くて、もう眠くなってきた私にいろいろ話しかけてくる。
「明日帰るから、その足でじいちゃんとばあちゃんに挨拶すませて…。
うちの親にはメールで適当に連絡しとく。」
「いいのかな…、そんないい加減で。」
「いいって。
母親は海外だし、父親はまあ…、そのうち嫌でも毎日会うことになるだろうし。」
「そういえば、お父さんもシンガポールに行くの?」
「しばらくはね。
でも、日本でもいくつも仕事を抱えてるから、すぐに帰ると思うよ。」
そうしたら、2人きりでシンガポール生活を送ることになるんだ。
私…、大丈夫かな。
今更ながらに、不安になってきた。
「一度行ってみる?シンガポール。」
不意に、裕太くんはそんなことを言い出す。
「一度って?」
「Aは心配性だから、土壇場で「やっぱ無理!」とか言い出しそうだから、言われないように近いうちに下見に行こう。
スーパーや休日に遊べる場所を探したり、日本の食材は買えんのか調べたり。」
確かに、それは安心ではある。
私が一番不安なのは、海外で知り合いもいない状態で、裕太くんが仕事に行ってしまったら、昼間は私一人になってしまうってこと。
きっと買い物や日々のさまざまなことは私がすることになるんだろうし、何も知らないっていうのは本当に危険だ。
「Aのお父さん、シンガポールにいたんじゃなかった?」
「もう会社は辞めてるみたいだから、日本に帰ってるんじゃないかな。」
「行ったことないわけ?」
「ない。」
だって、再婚して向こうに行ったわけだし。
新しい奥さんは、私とお母さんを捨てるきっかけになった人なわけで。
そんな人と顔を合わせたくなくて、「遊びにおいで」と父からメールが来ても、いつも断ってた。
そんな国に、今度は結婚した私が行くなんて、なんか因果な運命だ。
そして私達は、帰省から帰ってきた翌週には、もうシンガポールに旅立っていた。
7時間を超えるフライトの間、私は一睡もできなくて。
隣で裕太くんは爆睡してたのに。
理由はないんだけど、ずっと胸がドキドキしてソワソワして、どうにかなりそうだった。
たぶん、緊張してるんだと思う。
着陸のサインと同時に目を覚ました裕太くんは、
「まさか、全然寝てないの?」
心配そうな顔をして、私の頬に手のひらを乗せた。
「…A、熱があるんじゃない?」
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クッキーベル(プロフ) - 昨年のクリスマスからこの作品を今日までで一気読みさせていただきました!!すごく面白くて続きが気になります!!!更新大変だとは思いますが、これからも頑張ってください!!応援してます!! (2021年1月2日 19時) (レス) id: 456e770b4f (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 楽しみに更新待っていますね。^_^ (2020年7月28日 0時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
bakutan(プロフ) - こんばんは!この物語とても好きです!ゆっくりでも良いので更新再開してください!!楽しみに待ってます! (2020年6月3日 19時) (レス) id: dde750c273 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - えりさん» こちらも大変お返事が遅くなりまして!こちらも読んでくださってるとは、ありがとうございます。こちらは更にのんびり更新でやってますが、どうぞよろしくお願いしますm(__)m (2020年3月2日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - こんばんは!こちらも楽しみに読んでいます。めちゃくちゃ素の玉ちゃんが出てる感じでリアル感もあり楽しみです!ゆっくりご都合良い時に更新してくださいね^_^楽しみに待ってます。 (2020年1月25日 22時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2019年10月6日 21時