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お昼きっかりに裕太くんを揺り起こしたら、意外にあっさりと目を覚まして、
「どこ行く?」
なんて聞いてくるわりには、ソファーから動こうとしない。
「今日は家にいたら?」
そう言ってるのに、裕太くんは頑なに首を横に振る。
「嫌だ。
絶対にどこかに出かけたい。
人間らしいことがしたい。」
昨日からずっと言ってるよね?
人間らしいことがしたいとか。
「それってどういう意味?
人間らしいことって。」
「ここんとこずっと、ボロボロの状態で卒制してたじゃん?
みんなと、これが終わったら何がしたいかってダラダラ話ながら作業してたんだけど。
俺は、Aとどこかへ出かけたいって、ずっと思ってた。」
そんなことを言いながらも裕太くんはソファーから動こうとせず、結局、彼がソファーから降りたのは夕方になってからだった。
部屋にいる時は虚無の目になってたくせに、外に出た途端に急にその目は生き生きと輝きはじめる。
「何か食べてから、どこかに夜景でも見に行く?」
「夜景はクリスマスに行くんじゃなかった?」
だって私達は、2年連続でクリスマスを過ごせてないから。
一昨年は私の胃炎、去年は裕太くんのインフルエンザで。
もしかして付き合って一度も、私達はまともなクリスマスを過ごしてないのかもしれない。
「服が買いたいかも。」
独り言みたいにそう呟いては、裕太くんさ通り沿いにある高そうな店へ一直線に入って行く。
この光景…、どこかで見たことがある。
付き合い始めた頃、裕太くんとショッピングデートをした時、こんな風に高いブランド系の店をはしごされたことがあったっけ。
あの時は裕太くんとの距離を感じたし、私の物も買うと言い出してケンカにもなったよね。
値札も見ずに次々と手に取って行く裕太くんを、まるで監視するように後ろからついて回る私。
「これ買っていい?」
やけに清々しい顔で振り返った裕太くんと、思いっきり目が合った。
…きっと私は今、かなり渋い目つきになってるはず。
「値段見た?それ。」
「そんなに高くないんじゃない?」
そんなことを言いながら値札を見た裕太くんは、苦笑いでこちらを振り返った。
「見る?値段。」
見せてもらった値段は、シャツ1枚で7万円。
昔のデートの場面が蘇りかけたところで、意外なことが起こった。
裕太くんは手に持っていた服を棚に戻すと、そのまま店を出て行ってしまったのだ。
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クッキーベル(プロフ) - 昨年のクリスマスからこの作品を今日までで一気読みさせていただきました!!すごく面白くて続きが気になります!!!更新大変だとは思いますが、これからも頑張ってください!!応援してます!! (2021年1月2日 19時) (レス) id: 456e770b4f (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 楽しみに更新待っていますね。^_^ (2020年7月28日 0時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
bakutan(プロフ) - こんばんは!この物語とても好きです!ゆっくりでも良いので更新再開してください!!楽しみに待ってます! (2020年6月3日 19時) (レス) id: dde750c273 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - えりさん» こちらも大変お返事が遅くなりまして!こちらも読んでくださってるとは、ありがとうございます。こちらは更にのんびり更新でやってますが、どうぞよろしくお願いしますm(__)m (2020年3月2日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - こんばんは!こちらも楽しみに読んでいます。めちゃくちゃ素の玉ちゃんが出てる感じでリアル感もあり楽しみです!ゆっくりご都合良い時に更新してくださいね^_^楽しみに待ってます。 (2020年1月25日 22時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2019年10月6日 21時