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「寄らないって言ったじゃん!」
そんな文句を言っても、
「売店で何か買ってくるだけ。」
とか言いながら、裕太くんは1人で車を降りていってしまう。
確か、ここのSAじゃなかったっけ?
この冬の帰省で車内泊したのって。
しばらくしてレジ袋を提げた裕太くんが、ゆっくりとこちらに近付いてくるのが見えたけど、
なぜか運転席じゃなくてトランクを開けて、後部座先のシートを倒し始めた。
あの車内泊の時のように、トランクで2人並んで朝食を広げる。
「夏の帰省の時は嫌な思い出だったかもしれないけど、冬はけっこう楽しくなかった?」
「楽しかった!」
裕太くんの買ってきた朝食は、私の好きなレタスサンドとカフェオレ。
何も言わないけど、いつもこんな風に裕太くんは私の好きなものを覚えていてくれる。
「あの時の俺、雪なんか止まなきゃいいのにって、密かに思ってたからね。」
裕太くんはどさくさに紛れて、そんなことを言い出した。
「本気?
寒かったし、大変だったじゃん。」
「でも温泉もあったし、意外と快適じゃなかった?」
「まあ、そうだけど。」
「それにすることなかったから、いっぱいしたしね、ここで。」
裕太くんはチラリと意味深な視線を投げかけてきては、涼しい顔をして目を逸らす。
つい数時間前までしてたっていうのに、よくそんなことが言えるよね。
それから2時間ほどまた車を走らせて、ようやく実家に着いた時には、もう10時を回っていた。
久しぶりに会った滉は、1人でお座りも出来るようになっていたけど、
見慣れない私達の姿を見つけては、人見知りで今にも泣きそうな雰囲気。
「滉、久しぶり♪」
裕太くんがいきなり抱き上げるから、少し泣きかけてたのに、
しばらくしたら安心したのか、気持ちよさげに身を任せるはじめた。
「覚えてんのかな?裕太くんのこと。」
「思い出してくれないと泣くわ。
あんなに一日中、一緒にいたのに。」
裕太くんの視線はずっと滉に注がれていて、軽く嫉妬してしまうくらい。
今度は、滉へのプレゼントのおもちゃを片っ端から広げて、ひとつずつ握らせては反応を窺いはじめる。
「甘やかし過ぎだって。」
「だって俺、全力で滉に好かれたいし。」
そして、私達以外誰もいないのを確認してから、
「…だってしばらくしたら、当分会えなくなるから」
寂しそうな目をして、裕太くんは何度も何度も滉の頭を撫でていた。
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クッキーベル(プロフ) - 昨年のクリスマスからこの作品を今日までで一気読みさせていただきました!!すごく面白くて続きが気になります!!!更新大変だとは思いますが、これからも頑張ってください!!応援してます!! (2021年1月2日 19時) (レス) id: 456e770b4f (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 楽しみに更新待っていますね。^_^ (2020年7月28日 0時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
bakutan(プロフ) - こんばんは!この物語とても好きです!ゆっくりでも良いので更新再開してください!!楽しみに待ってます! (2020年6月3日 19時) (レス) id: dde750c273 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - えりさん» こちらも大変お返事が遅くなりまして!こちらも読んでくださってるとは、ありがとうございます。こちらは更にのんびり更新でやってますが、どうぞよろしくお願いしますm(__)m (2020年3月2日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - こんばんは!こちらも楽しみに読んでいます。めちゃくちゃ素の玉ちゃんが出てる感じでリアル感もあり楽しみです!ゆっくりご都合良い時に更新してくださいね^_^楽しみに待ってます。 (2020年1月25日 22時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2019年10月6日 21時