無敵のスピカ

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なのにAは、

「宏光は、女友達に何でもしてあげるんだね」

とか言いながら、髪を乾かし終えてドライヤーを片付けに行ってしまう。

…マジか。

今のは相当効いてるはずだったのに。

まさかのボタン外し発言もスルーしてくるとか。

ただの天然なのか、もしかしたら本当にその気がないのか。









だけど俺は、次々と餌を撒いていくのをやめない。

さっきAに買ってあげたスイーツやアイスを食わせて、

「一口ちょうだい」

って、ねだってみるとか。

隣からじっと、その横顔を見つめてみたりだとか。

Aはきちんと反応するくせに、ぎこちなく躱してくる。

けっこう俺、本気で堕としにかかってるんですけど。

なのに、急に、

「宏光は、告白したことある？」

なんて、酔いで目の縁を赤くさせては、そんなことを聞いてくる。

「何でそんなこと聞くわけ？」

「なんとなく」

「じゃあ、Aは？」

「ない」

「言われてばっか？」

「そう、かな」

そう言いながら小首を傾げてるその頬を、両手でそのまま捕まえて、噛み付くみたいにキスしてやりたい衝動を抑えながら。

告白したことないんだったら、

じゃあ、今から初体験してみたら？









「でも、告白は男の方からするべきだと思うんだよね」

そんなこと言っちゃう？

別にいいよ？

俺の方から好きとか告げても。

でもさ、なんか俺もムキになっちゃってるし、簡単には言いたくないんだけど。

なのにAは、俺の手のひらを急に掴んでくる。

「私に触りたい？」

なんて言いながら、自分の頬に引き寄せようとしながら。

あれ···、もしかして俺、攻められてる。

「私、ちゃんと付き合ってる人にじゃないと、触らせたくないんだ」

まるで小悪魔みたいな目をしたAは、このタイミングで俺の手をパッと離した。









···やられた。

完全に目の前に大好物の餌を置かれた感じ。

てかこれ、かなり攻められてない？

だけど、自然に顔がニヤけてきちゃうのはきっと、Aも同じことを考えてたってことで。

そして、とどめの一言。

耳元に唇を寄せてきたAは、

「今夜、勝負下着だったのに」

そう囁いては、すっと身を引いた。

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