無敵のスピカ

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「俺たちが今できるのは、二人の事、誰にも言わない事じゃない？」





Aはそのうち違う理由つけてこの仕事から足を洗わせたい。



それからひっそり会ってりゃ元締めにもバレねーだろ。




「でも、お客様を宏光一人だけなんて出来ないの。私が選べる訳じゃないから。」


「･･･どれくらいの男と会ってんの？」





相思相愛だとわかったら、Aがどんな風に働いてるのか気になって仕方がない。



「･･･それは、･･･言えないの。」


「それは俺が客だから？それとも好きな男だから？」


「･･･どっちも。」





やばい。
嫉妬でどうにかなりそう。



でも、いつものこの部屋でAを抱いてしまうと
俺は結局、Aの客となんら変わりねーんじゃねーかって。



嫉妬と欲 情、独占欲とがない交ぜになって
自分自身冷静に保つのにはもう限界が来てる。




その時、Aが俺の予想してない事を言ってきた。




「･･･やっぱり宏光と付き合う訳には行かない。迷惑かけちゃう、もしバレたりしたら。だから、こうしてお客様として今まで通り会いたい。お願いっ、」



「･･･嘘だろ･･･？」




じゃあ、Aの幸せってどこにあんだよ？
仕事だと割り切ってたとしても好きな男以外と毎日体を重ねて･･･



それで、たまに好きな俺に抱かれて、それで満足･･･？



でも･･･
この仕事をしてるってだけで既に俺の手に負える女じゃないのかも。



事情があるんだろうし
バックには危ないヤツが付いてるかもしんないし
そもそも辞めらんない事情もありそうだ。
･･･俺といる事を選ぶリスクが高すぎる。






･･･でも、それでも俺は、･･･、





「宏光、それか、今日で、最後にしよ。」


「っ･･･、」





お互いの為に、成就しないならその方がいいのか･･･？




「そうしよ？」




俺の大好きな顔で微笑むA。
それだけで俺達の世界は取り戻される。




「ね、抱いて？」



俺の首にギュっとすがりついてくる。



・・・抱いたら、最後？



「嫌だ、やっぱり。」



最後なんてしたくないし
どんなリスクが伴ってもいけるとこまでいきたい。
Aとなら落ちる所まで一緒に落ちてみたい。



そう思わせられる女は初めてだった。

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